オランダが2001年4月1日、同性婚を最初に合法化して以来、欧州を中心に同性婚を認知する国が増え、2024年現在で36カ国が同性婚を認めている。
欧米社会では生物学的性と性自認が一致しないことで悩む人が出てきた。男性、女性のどの性にも属さない性自認(ノンバイナリー)を主張する人も出てきている。人間は男性、女性の2性ではなく、その混合性を含んで3性が存在すると主張する知識人がいる。「女性は女性として生まれたのではなく、女性となるのだ」といったジェンダー問題での社会的条件を強調する学者もいる。
ドイツでは17日、自己決定法案(Das deutsche Selbstbestimmungsgesetz)が発効することになった。連邦参議院が調停委員会にこれを付託しないことを決定し、法案を通過させた。この法律により、今後は性別登録と名前の変更が官庁で大幅に容易になる。これまで必要とされていた裁判所の決定と2つの専門家の鑑定書は、今後は必要ではない。これまで性別登録を変更するために高いハードルと費用のかかる手続きを経なければならなかったトランスジェンダー、インターセックス、ノンバイナリーの人々にとって朗報となる。
ちなみに欧州国別対抗の音楽祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」の決勝が11日、スウェーデンのマルメで行われ、スイス代表のNemo(24)が優勝したが、彼はノンバイナリーだ。スイス公共放送(SRF)のスイス・インフォによると、ラッパーで歌手のNemoは、ドラムンベース、オペラ、ラップ、ロックを織り交ぜた楽曲「The Code」で、性自認を男女の枠に当てはめない「ノンバイナリー」としての自分を受け入れるまでの道のりを歌い上げたという。
日本でも2023年6月16日、「LGBT理解増進法」を国会で可決、成立した。この法律の目的は、LGBTへの理解を広めつつ、不当な差別を抑止することだ。今後は基本計画の策定や啓発活動などを実施し、性的少数派への理解を促進し、差別などをなくしていくという。
欧米諸国を中心に同性婚が次第に市民権を得てきている。リベラルなメディアや世論がそれを後押ししている。LGBT+運動を批判すれば、メディアからバッシングを受ける世の中となってきた。それだけに、イタリア家族相の勇気ある主張を評価したい。
特定のテーマでメディアが大合唱して応援し、批判する時、私たちは用心深くならなければならないことを学んできた。同性婚の公認は、国家の土台にも大きな影響を与える問題だ、それだけに、時流や世論に流されることなく、冷静に慎重に対応すべきだ。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年5月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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