ロシアによる「戦術核使用演習」開始
こうした西側諸国の動きに危機感を持ったロシアは、ウクライナへの軍事侵攻の拠点である南部軍管区で、プーチン大統領の指示により戦術核兵器の準備と使用を想定した演習を開始した(毎日新聞2024年5月21日)。
ロシアのこの動きは、西側諸国によるウクライナへの軍事介入を阻止するための「核恫喝」の一環と言えよう。ロシアとしては、何としても西側諸国の軍事介入を阻止し、前記の戦争目的達成を狙っているのである。通常戦力では明らかに劣勢であることをロシアは熟知しているからである。
米国及びNATOは強力な「対ロ核報復ドクトリン」を策定せよこのようなロシアによる「核恫喝」や「核使用」を抑止するには「核」しかないのが国際社会の冷厳な現実である。すなわち、核を使えば確実に核による報復を受けることをロシアに知らしめる以外にはない。ロシアによる「核恫喝」や隣国ベラルーシへのロシアによる核兵器配備に危機感を持ったポーランド大統領は、4月22日「NATOの核兵器の自国への配備を受け入れる」(AFP4月22日)と言明した。
ロシアによる「核恫喝」や「核使用」を抑止するためには、米国及びNATO諸国は強力な「対ロ核報復ドクトリン」(対ロ核報復基本原則)を早急に策定する必要がある。すなわち、ロシアがウクライナや米国及びNATO諸国に対して戦術核を使用した場合には、米国及びNATO諸国は、ロシアに対し戦術核による報復を確実に行い、戦略核を使用した場合には、戦略核による報復を確実に行うことをNATOの公式文書で確認し策定するのである。
そして、米国及びNATO諸国は、上記ドクトリンに基づく強力な「核報復演習」と「核報復訓練」に基づく強固な核報復即応体制を早急に構築すべきである。これによりロシアは核報復を恐れ、ロシアによる「核恫喝」も「核使用」も強力に抑止されるであろう。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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