プーチン・ロシアの「核恫喝」成功
プーチン・ロシアによる「ウクライナ侵略」は長期化している。プーチン大統領は2022年2月の侵略当初から米国及びNATO諸国に対し、もし軍事介入をすれば核使用を排除しない旨の「核恫喝」を繰り返し行い、米国及びNATO諸国の軍事介入を牽制してきた。これは、ロシアは通常戦力では到底米国及びNATO諸国には歯が立たないため、軍事介入を何としても阻止する意図に基づくものである。
これに対し、米国及びNATO諸国は核を含む世界戦争を恐れるあまり、プーチン大統領の「核恫喝」に屈服し、ウクライナへの軍事介入をせず、モスクワまで届く長射程ミサイルの供与すらも躊躇する事態である。
このように、プーチン大統領による「核恫喝」は見事に成功しているのであり、このままの状況が続けばロシアによる「キエフ占領・ゼ大統領処刑・傀儡政権樹立」「ロシアへの属国化・武装解除・中立化」も否定できないであろう。
西側諸国の強い危機感このような状況を憂慮したフランスのマクロン大統領は、2024年2月26日「ウクライナへの地上部隊派遣を排除しない」(NHK2月27日)と述べるなど、ウクライナへの関与を強める発言をした。
また、バルト3国のリトアニアのランズベルギス外相も、5月20日「ウクライナを支援する西側諸国は供与している兵器につけた制限を解除し、ウクライナにもっと自由にロシア領内の標的を攻撃させるべきだ」と主張し、マクロン大統領の発言を支持すると述べた。同外相は「我々はエスカレーションを恐れウクライナに制限を課す間違いを犯した。西側諸国はロシアへの恐怖に支配されていた」(AFP=時事5月21日)とも指摘した。
すなわち、日本の国是とされる「専守防衛」では到底国を守れないということである。
こうした発言の背景には、もし、ロシアによる「ウクライナ侵略」が成功すれば、決してこれだけでは終わらず、必ず他の西側諸国への侵略を招くとの強い危機感がある。このことは2014年のロシアによる「クリミア半島併合」の「成功体験」があるからこそ、今回の「ウクライナ侵略」を招いたとの歴史的教訓がある。