人食いバクテリアが日本で急増している!対策は?
厚生労働省の報告によると、最近、日本で劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)が急増しています。
実際、感染者数は2021年で622人、2022年で708人でしたが、2023年には941人となり、統計を取り始めた1999年以降最多であった2019年の894人を上回りました。
しかも、状況はそれだけでは収まりませんでした。
なんと2024年は6月2日時点で、2023年の報告数を上回ってしまったのです。
たった半年で既に過去最多の年となる23年の報告数を上回ってしまったため、専門家は今年の感染者数が2500人に達するのではないかと懸念しています。
まさに今、日本では人食いバクテリアが急増しているのです。
では、どうしてこのような増加が見られたのでしょうか。
その理由は、現状明らかにはなっていません。
ただ厚生労働省は、COVID-19の対策緩和がなされた2022年から「A群溶血性レンサ球菌」による急性咽頭炎の患者数が増加していることが関係していると考えています。
COVID-19の対策緩和以降のSTSSが増加は、日本に限った話ではなく世界的に確認されている傾向です。
「A群溶血性レンサ球菌」の感染経路は明らかではありませんが、急性咽頭炎という呼吸器疾患が特に増えていることから、COVID-19の対策が厳しかったことの反動で、対策緩和後はあらゆる感染対策が過剰に軽視されてしまっている可能性があるかもしれません。
例えば、多少風邪っぽくても絶対マスクをしない、手洗いやうがいはもうしなくて良い、などの本来はCOVID-19に関係なくやった方が良い感染対策を一切やらなくなってしまった人が多いのかもしれません。
そのためSTSSを予防するには、基本的な衛生管理をするだけでも十分有効な可能性があります。
例えば、手指衛生や咳エチケットを重視し、手足の傷に対して素早く清潔な処置を施すことが大切です。
(※劇症型溶血性レンサ球菌感染症の原因となる菌種としては、A群、B群、C群、G群レンサ球菌が主なものとして知られており、呼吸器疾患に限らず怪我などの傷から菌が侵入し感染するケースもあります)
またもともとが軽症の風邪症状が急速に進行し、STSSとなるため、少しでも疑わしい症状を感じたら、すぐにでも医療機関を受診することが大切です。
今後、さらに日本で広まっていくであろう「人食いバクテリア」から身を守るためにも、改めて感染防止対策を意識するべきかもしれません。
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参考文献
Streptococcal toxic shock syndrome: should I be worried if I’m travelling to Japan?
https://theconversation.com/streptococcal-toxic-shock-syndrome-should-i-be-worried-if-im-travelling-to-japan-232818
劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137555_00003.html
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部