ワシントンで9日から3日間の日程で北大西洋条約機構(NATO)首脳会談が開催された。同会議の2日目の10日、ロシア軍の攻撃を受けるウクライナに対して来年も400億ユーロ規模の軍事支援を継続すること、ウクライナのNATO加盟問題では「ウクライナがNATO加盟に向かって不可逆的な道を歩むことを支援する」という内容の首脳宣言が採択された。ウクライナ側が願う即加盟や加盟時期については言及されていない。

ワシントンで開催されたNATO首脳会談の記念写真(NATO公式サイトから、2024年7月10日)

それに先立ち、首脳会議初日の9日、バイデン米大統領はドイツやオランダ、イタリアなど欧州の同盟国と共同で、地上配備型迎撃ミサイル「パトリオット」を含む防空兵器5基をウクライナに追加供与すると表明した。首都キーウの小児病院「オフマトディト」で8日、ロシアのミサイル攻撃を受け、多数が犠牲となったばかりだ。防空システムの強化が急務となっている。NATO首脳会談に参加したウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシア軍のミサイル攻撃をこれで防止できる」と喜びを表した。なお、NATO首脳宣言では、ロシアに武器や軍事器材などを支援する中国に対して対露支援の即停止を要求する文面が記述された。中国側からの反発が予想される。