G7の一角を占める日本として1.5℃目標に言及せざるを得ないのは理解できないでもない。しかしAZECの「一つの目標、多様な道筋」の「一つの目標」を「1.5℃目標、2050年カーボンニュートラル」と限定的に解釈してしまうと、解がなくなってしまう。環境NGOがAZECに盛り込まれたアンモニア混焼、水素混焼等を否定するのは2050年カーボンニュートラルを絶対目標とするからである。
もともとパリ協定2条は「産業革命以降の温度上昇を2℃を十分に下回るものに抑え、1.5℃までに制限するために努力」であり、4条では「2条の気温目標を達しするため、今世紀後半にカーボンニュートラル(排出量と除去量のバランス)を達成する」ことが謳われているのであって1.5℃、2050年カーボンニュートラル決め打ちではない。「今世紀後半のできるだけ早期のタイミングでの全球カーボンニュートラルに貢献すること」を共有目標とするのが現実的であろう。