ポーランドで15日、議会選挙(上・下院)が実施される。投票日を2週間前に控えた1日、首都ワルシャワで現保守派与党「法と正義」(PiS)政権打倒を訴える野党第一党「市民プラットフォーム」(PO)主導の10万人以上の大規模集会が開催された。
選挙では、下院(セイム)の460議席、上院(セナト)100議席がそれぞれ選出される。複数の世論調査では、PiSがリードし、それを数ポイント差でPOが追っている。選挙の焦点は、2期8年間、政権を運営してきた保守系与党PiSが政権を維持するか、それとも中道リベラル派の最大野党PO主導の新政権が生まれるかだ。
欧州理事会議長(EU大統領)を務めた元首相のPO党首ドナルド・トゥスク氏は現政権に不満をもつ国民に「100万人の心の行進」の参加を呼びかけた。外電によると、同デモには左翼同盟「レウィカ」も支援した。多くのデモ参加者がポーランドとEUの国旗を掲げて首都中心部でデモ行進。元大統領でノーベル賞受賞者のレフ・ワレサ氏も参加した。デモ参加者は「私たちはもうたくさんだ。変化を望んでいる」、「団結すれば力がでる」と書かれたプラカードを掲げて行進した。
ちなみに、デモ主催者側は参加者数を100万人と主張し、ワルシャワ市長広報官は、「これは間違いなくワルシャワ史上最大規模の集会だ」と追認したが、警察側によるとデモ参加者数は約10万人だ。同国のメディアは参加者数を「10万人~80万人」と報じている。
トゥスク氏はデモ参加者に向かって、「この力を止めることはできない。この変化は避けられない」と述べ、国民にチェンジをアピールしている。同氏は先月28日、デモ開催に先立ち、「もう誰も現政権を恐れていない。右翼民族主義政党(PiS)はポーランドの民主制度、特に司法を弱体化させている。また、女性や少数派の権利はますます削減されている」と批判した。
PiS政権は総選挙を有利に進めるために、ロシアの影響を受けている政治家を公職追放する新法を成立させたが、その新法に抗議する反政府デモが首都ワルシャワで6月4日起きるなど、PiS政権への不満は国民の間で充満している。
例えば、最近、金銭と引き換えに移民にビザを不法に発給するというスキャンダルが発覚し、移民政策における強硬な姿勢で知られる政府は窮地に陥っている(オーストリア国営放送ヴェブサイト)。なお、PiSは1日、南部カトヴィツェで独自の集会を開いた。
同国の世論調査によると、与党PiSが支持率38%でトップを走り、それを追ってPOが30%だ。そのほか、左翼同盟「レウィカ」が10%、極右党「コンフェデラツィア」は9%となっている。
前回の総選挙(2019年10月13日実施)ではPiSは43.6%でセイム(下院)とセナト(上院)を独占したが、ここにきて民族主義的政策、女性の権利はく奪などで有権者の支持を失うとともに、ローマ・カトリック教会の聖職者の未成年者への性的虐待問題が次から次と暴露され、教会離れする国民が増えてきたこともあって、支持率が落ちてきている。