では本題の「世界はウクライナをどうしたいのか?」であります。私にはこのピクチャーが全然見えてこないのです。ウクライナを支援するという美辞麗句とは別に戦争をどう終結させ、誰がどうやってウクライナを再建させるのかについては淡泊な気がするのです。
うがった見方ですが、戦争当事者に対して第三国が支援する場合、それなりの理由があるものです。①同盟としての支援 ②延焼を防ぎたい=自国への被害拡散を止めたい ③国際関係上の義務感 ④ 戦後を見据えた経済的便益の争奪戦に加わること、が主なものではないでしょうか?
①から③はともかく、案外④が本音であることは多くの国が隠すものです。イラクを攻めたブッシュ氏は石油利権を期待していました。ではウクライナはどうなのか、といえば私には穀倉地帯以外思い当たる節がないのです。ではウクライナの人たちは自国をどう見ているのでしょうか?例えば戦争が終わったら世界各地に避難しているウクライナの人たちは戦禍でボロボロになった自国に戻りたいと本当に思っているのか、移住先の生活を手放さないのか、ここは大きな判断になるでしょう。
ウクライナは戦争前から極端な人口減少に悩まされてきた国であり、政治的不安定さも含め、国家としてソ連からの独立後も明白なビジョンを持ち合わせていなかったというのが私の個人的見解です。世界の歴史を見れば不安定な国家は誰が政権を握るか次第で右にも左にもブレるわけですが国際世論は内政不干渉であり、何が起きようとそれを尊重しなくてはいけないのです。
つまり今回、復興のための資金プランは出来たけれど何をどう使っていくのか、その管理はどうするのか、汚職が多い同国にそのままお金を渡したらどうなるかぐらいは当然分かっているはずです。
どういう形にしろ、戦争が終結した段階でウクライナの自律回復は極めて困難ですから一種の信託統治のような形で第三国チームが国家再建を担う案が出てくるのだろうとは思います。ではその間に日本のGHQ統制期間と同じようなことをするのか、今の時代にそれが可能なのかという点も含め、より慎重にプランすべきだと考えています。個人的にはロシアと国境を接しているウクライナに対して西側諸国中心の信託統治が可能だとは思えないのです。
ウクライナの再建は相当困難が予想されますが、その中で現実的解として大農業国に仕立てるのはありなのかもしれません。また農業産品をそのまま輸出するのでは脳がないのでいわゆる第六次産業化を進めるといった経済再建はやりやすいと思います。第六次産業とは1次産品業者である農家が第二次である加工と第三次の流通を行う産業化のことで1x2x3=6次産業という名がついています。
これは一つの案ですが、国家の再建にはその国のファンダメンタルズを考えたうえでもっとも再建しやすいところから手を付け、自助努力できる勢いをつけることが大事です。移民政策をとり、人材を取り込みながら国民総生産の基礎体力をつけていくのがベストだと思います。
このようなウクライナの将来のピクチャー案がほとんど出てこない中でお金の話だけで盛り上がるのはある意味、無責任な国際世論の議論のように感じるのは私だけでしょうか?
とはいえ、早く戦争を止めること、それと合わせ、ゼレンスキー氏の身の置き方を自身が明白にしないと既に大統領の任期が切れているのに大統領をずるずるやり続けるのは国民のベクトルを考えても愚策だと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年6月7日の記事より転載させていただきました。