ウクライナ軍が今月6日以来、ロシア領土に越境し、クルスク州に進攻、ウクライナ側の情報によると、74の集落を占領するなど軍事的成果を挙げている。一方、ロシアのプーチン大統領はウクライナ軍の軍攻勢にショックを受け、ウクライナの侵攻をストップさせるためにクルスク州に軍を派遣するなど、緊急対応に追われている。
外電によると、ロシアの国境地帯ベルゴロド州のグラドコフ知事は、ウクライナの攻撃が続く中ベルゴロド州全域の地域に非常事態を宣言した。同知事は「ベルゴロド州の状況は極めて困難で緊迫している」という。同知事によると、ウクライナ軍は家屋を破壊し、市民を殺傷している。同知事は政府に対して連邦非常事態の宣言を要請する意向という。
また、ロシアはウクライナがヴォロネジ州に対しても35機のドローンを発射したと報告した。犠牲者は出ていないという。これらの軍事情報は未確認だ。
ウクライナのゼレンスキー大統領は13日夜のビデオメッセージで「わが軍はロシア領土内で進軍している」と述べ、ウクライナは目標を達成し、自国の利益を守り、独立を保護することができると自信を見せた。同大統領は「ロシアが公正な平和に同意するまで攻勢を終わらせない」と強調している。
ウクライナ軍のクルスクへの奇襲攻撃について、欧米メディアではさまざまな憶測が報じられているが、明確な点は、クレムリンを恐怖に陥れ、政治的および心理的にもプーチン大統領に深刻な打撃を与えていることだ。2022年2月に始めたプーチン氏のウクライナ侵略戦争が自国領土まで跳ね返ってきたからだ。ウクライナ軍がロシアのクルスク地方に進撃してからほぼ10日が経過したが、その進撃はまだ止められず、13万人のロシア人が避難している。
ところで、インスブルック大学の政治学者、ロシア問題専門家マンゴット教授は「ウクライナ軍がクルスクをいつまで占領できるかは不明だ」と指摘するなど、ウクライナ軍のクルスク占領が長期間維持できるかに対しては懐疑的だ。兵力不足に悩むウクライナ軍にとって、ロシア領域内の軍事活動は防衛資源の分散となるからだ。