北朝鮮中央通信(KCNA)が8日報じたところによると、北朝鮮の最高人民会議の常任委員会総会は7日、経済協力を促進するために韓国と締結した「北南経済協力法」など過去の全ての協定を破棄することを決議した。北朝鮮は韓国を「最大の敵」とするなど、敵対攻撃を進めてきているが、今回の決定はその一環と受け取られている。
それに対し、韓国の尹錫悦大統領はテレビ録画インタビューで、「北朝鮮の南北政策の転換は異常な変化だ。その背後に何があるのかを理解するのは困難だ」と強調、同時に、「北朝鮮はわが国に対し強硬姿勢を取ってきているが、北の国民経済を助ける用意はある」と述べ、金正恩総書記と首脳会談を行うことも可能と語っている。韓国側としては、対北交渉窓口は今後とも開いておきたいわけだ。
金正恩総書記の最近の対韓国強硬姿勢の背後には、ウクライナ戦争を契機としたロシアとの軍事・経済関係の強化があることは間違いないだろう。西側情報機関筋によると、ロシアは最近、北朝鮮のロシアへの武器提供に報いるため、ロシア国内に凍結されてきた北朝鮮の資産約3000万ドルのうち、900万ドルを解除する一方、北朝鮮のフロント会社がロシアの銀行に口座を開くことを認めている。国連の対北制裁下で世界の銀行は北朝鮮との取引きを禁止してきたが、ロシア側がそれを解除して、北側の経済活動を支援している。金正恩総書記が韓国に対して強硬姿勢を取れる理由となっているわけだ。