■シータを助けるパズーはインドの皇子?
「天空の城ラピュタ」のもう一つのイマジネーションのもとが、インド最古の叙事詩「ラーマーヤナ」である。登場人物をラピュタに置き換えると下記のような話になる。ちなみにシータはラーマーヤナの中でもシータだ。
ラーマーヤナの最終和(第43話)は、まさに天空の城ラピュタと同じ話であるといってよい。興味のある方は読まれると面白いかもしれない。神の化身として王家に送り込まれた王国の第4皇子パズーは、悪の化身で悪魔に殺さないと約束され、悪行の限りを尽くしていた。パズーは土から生まれたシータ姫と結婚していたが、ムスカにシータを奪われてしまい、サルの国のドーラに協力を仰いで、ムスカの城の中でムスカと対決する。ムスカの頭を何度も吹き飛ばしたり切ったりするが、悪魔と約束しているムスカは死なない。その時にシータは滅びの言葉を唱えながら大砲を撃ち、ムスカを殺してインドの国王になる。
しかし、ラーマーヤナはそれでは終わらない。長い間ムスカに拉致されていたシータに対し、パズーはムスカと関係があったのではないかと疑念を抱く。何度か試して疑いが晴れるが、しかし、シータが双子を生んだ時にまたその疑念が出てきたため、シータは双子を連れて王宮を出て行く。パズーは子供を捜しやっと発見するが、その子供が人間離れした力を持っていることから、やはり悪魔の子ではないかと疑念を抱いてしまう。シータは「私が潔白ならば、大地よ、私を呑み込みなさい」といい、パズーが見た瞬間、大地が大きな口を変えてシータを飲み込んでしまった。シータを失ったパズーは驚愕のあまり言葉を失い、悲嘆に暮れ、そして悲しみの中で死んでゆくという話。
まさに天空の城ラピュタと同じストーリー展開であるところがなかなか興味深い。この天空の城ラピュタに関してはラーマーヤナに、ガリバー旅行記が合わさってできたものと考えてまず間違いがないのではないか。