ただでさえ子どもたちのヒーローが、ギャンブルのキャラクターとなることへのアレルギーがあった上、チームが積極補強を開始したタイミングだったことで、「パチンコメーカーへの版権販売はクラブの運転資金捻出のため」と噂された。
さらに作品のパチンコ化の意図について問われた高橋氏が「東日本大震災の復興支援のため」と、ピントがずれた言葉を発し、ただでさえ「原発事故による避難民は働きもせず賠償金でパチンコばかりやっている」という悪意に満ちた風評を浴びていた被災者を傷付け、ネット掲示板は高橋氏への批判コメントで溢れた。
この決断を最終的に下したのが高橋氏か、版権管理者の岩本氏かは、今となっては知る由も無い。しかしこの事実から、南葛SCが当時から金策に奔走していたことはであろうことは、想像に難くない。
人気に伴わない成績
この頃から南葛SCは元Jリーガーやブラジル人選手など“ビッグネーム路線”をひた走り、中でも元日本代表MF福西崇史を現役復帰した上で加入させたことは、サッカーファンを驚かせた。
やや足踏みした時期もあったが、2020年に「Jリーグ百年構想クラブ」に承認され、翌2021年、1部最下位の桐蔭横浜大学FCとの入れ替え戦に勝利し、ついに関東1部リーグへの昇格を決めた。しかし前述した通り、初出場した全社では2回戦敗退に終わり地域CLへの進出は果たせず、今季に至ってはリーグ戦負け越しに終わっている。
元代表選手の獲得や大物監督の招聘、新スタジアム計画、そこに加えて、川崎のプロモーション部部長として数々の風変わりなイベントを仕掛け続けたことで人気チームに育った南葛SC。東京五輪でもプロモーションに携わった実績のある天野春果氏を、新設されたプロモーション部長のポストを用意して招くなど次々と明るいニュースを届け、葛飾区民のみならず東京23区民にとっても夢を見せてくれるのだが、いかんせん、チームの成績が伴っていないのが現状だ。