「名前だけでは勝てない」を地で行くような結果だったわけだが、それ以前に、前述した有名選手の中でコンスタントに出場していたのは関口、大前、楠神くらいで、開幕スタメンだった今野は徐々に出場機会を失っていき、稲本に関してはベンチ入りすら叶わないシーズンを過ごした。
2023年にはJR新小岩駅近くの土地を取得し、サッカー専用スタジアムを建設する計画を発表。Jリーグ加盟に向け走り出したかと期待させたものの、同シーズンも6位に終わっている。
発足から『キャプテン翼』を巡って
その歴史を紐解くと、1983年、葛飾区立常盤中学校サッカー部OBを中心に「常盤クラブ」として産声を上げた。その後クラブ名を「葛飾ヴィトアード」に変えながら活動し、2013年、高橋氏を後援会会長に迎えクラブ名を「南葛SC」とし、ユニフォームもキャプテン翼に倣いシンプルな白とした。
続けて女子チームの「南葛SC WINGS」、フットサルチームの「南葛SC MARE PARADA」、下部組織も整備し、2019年には株式会社化し、高橋氏自ら代表取締役に就任した。
ここまでの経緯で高橋氏は、友人から「クラブ経営だけは絶対にやめておけ」と言われていたことをテレビ番組で明かしていたが、その禁を破ったことになる。そして、クラブ経営はその友人が助言した通り、壁に突き当たることになる。
南葛SCのゼネラルマネージャー(GM)は、雑誌『CALCIO2002』『サッカーキング』、ウェブメディア『REAL SPORTS』編集長などを歴任した岩本義弘氏なのだが、そのプロフィールの中に気になる文言がある。それは「キャプテン翼の版権管理」というものだ。キャプテン翼の版権は「株式会社TSUBASA」が持っており、岩本氏はその代表取締役も兼任している。
つまりは、高橋氏がどれだけ『キャプテン翼』を描いたとしても、その印税は一旦、岩本氏および株式会社TSUBASAを経由することになるのだ。キャプテン翼の版権については、2015年8月、サンセイR&Dからパチンコ台「CRキャプテン翼」がリリースされたことで、賛否両論が起きた。