日本経済新聞によれば、首都圏や関西地区の築10年程度の中古マンションの価格を新築時の販売価格と比較したところ、最大で3倍を超える駅が存在することがわかりました(図表を元記事で見る)。
例えば、東京の六本木一丁目駅は3.69倍、東池袋駅が3.04倍、新御茶ノ水駅は3.03倍です。
新築時に買ってずっと住んでいる人は、家賃はタダで管理費だけ払って10年間住んでいるうちに価格が3倍になっている訳です。
ここまで価格が上昇したのは、黒田前日銀総裁が始めた日銀の異次元緩和による低金利の継続が主要因です。不動産や株式のようなリスク資産に資金が流れ込み、価格を上昇させることになりました。
また、円安によって外国人から見た日本の不動産の割安感が高まり、海外の投資資金が日本に流れ込んでいるのも価格上昇に拍車をかけています。
更に、そもそも日本の都市部の投資用不動産の賃貸利回りを見ると、香港、シンガポール、台北といったアジアの主要都市に比べて高くなっています。
裏返せば、日本の不動産にはもともと価格上昇の余地があったと考えることができます。現在でも、この賃貸利回りの差は解消しておらず、価格の上昇余地があるといえます。
ここに来て日銀の金融政策の転換により、日本の不動産にも金利上昇のマイナス面が波及してくることが想定されます。それでも不動産に対する国内以外の需要は堅調で、価格が下落し利回りが上昇すれば、買いたい投資家が待ち構えています。
かなり上昇した日本の都市部の不動産ですが、再開発による価値上昇も期待でき、投資家のニーズの強さも衰えていません。
不動産は過去の価格と比較するのではなく、現在の海外の主要都市の中心部の不動産価格と比較すべきです。その意味では、日本の都心部の不動産はまだバブルとは言えない。今が高すぎるのではなく、10年前が安すぎたということです。