「イライラするから」という理由で名前を付けられてしまったかわいそうな魚をご存知でしょうか。

「イライラさせられる魚」とは

この時期市場に行くと、やたらと顔が大きく、カラフルな魚を見かけることがあります。その魚は体高があり、頭部が大きく、口が尖っていて歯が見えており、やや派手な体色の中に斜めの黒線が目立っています。

『イラ』の名前の由来は「イライラするから」 地方名はさらに摩訶不思議
(画像=イラ(提供:PhotoAC)、『TSURINEWS』より引用)

この魚は「イラ」というもので、ベラの仲間の一種です。大きいものだと40cmを超えることもあり、南の方の磯で釣りをしていると時々出会うことがあります。

このイラ、漢字で書くと「伊良」なのですが、ときどき「苛魚」と書かれることがあります。これは、生きている個体を触ろうとすると手に噛みつこうとするため、非常にイライラするからだそうです。

不思議な地方名の多い魚

このイラ、標準和名自体もちょっとユニークですが、その地方名はもっとユニークです。

静岡ではケサと呼ばれるが、これは体側に袈裟懸けに黒い帯が入っているから。そしてこの帯模様から「バンド(band)」と呼ぶ地域もあります。

さらに福岡では「ポッポ」と呼ばれています。これは当該地域で昔から「ハト」と呼ばれてきたことに由来するようですが、そもそも「なぜハトなのか」についてはよくわかっていないようです。

『イラ』の名前の由来は「イライラするから」 地方名はさらに摩訶不思議
(画像=ハトとの共通点は特にないが……(提供:PhotoAC)、『TSURINEWS』より引用)

徳島県では「テスノゲ」と呼ばれますが、これはアマダイやブダイなど「大型のベラ系の白身魚」全体をテスと呼ぶ文化があり、その中で評価が低いため「テスの下」となったようです。

その他にも長崎の一部地域では「オオガン」と呼ばれており、これは「顔が大きいから」だと言う説があります。