DF出身でありながらも4-3-3をベースとした攻撃的サッカーを志向し、総得点49は、プレーオフを争う10クラブの中ではトップの数字だ。3トップを形成するのは、今季10得点の塩浜遼、6得点の樋口寛規、同じく6得点の森晃太。さらに中盤には、9月に中国で開催されたU-20アジア杯予選の日本代表に選出され、背番号10を託されたMF大関友翔が君臨し、寺田監督の目指す攻撃サッカーを体現している。
大関の個人技は、先日の大宮戦でも発揮され、大宮DFがイエローカード覚悟のファールで止めるシーンも散見された。
2024シーズン想定外の大善戦
攻撃に重きを置く戦術である上、シーズン中盤の7月にDFの要で主将を務めていた堂鼻起暉を同じ福島県をホームとするJ2いわきFCに引き抜かれたこともあり、失点も多い(41)。得失点差は+8にとどまり、32節終了時点で完封試合は8、スコアレスドローに終わった試合も2と、チームの特色が数字にそのまま表れている格好だ。
2022シーズンは服部年宏監督の下、11位。2023シーズンは依田光正監督の下、15位に終わり、今季開幕前はJFL降格候補にも数えられていた福島。
しかしリーグが始まると背番号10を背負う森や、後に移籍することになる堂鼻といったベテランを軸に、大卒の生え抜き選手や、川崎、徳島ヴォルティス、柏レイソルから育成型期限付き移籍で加わった若手で構成されたメンバーが一丸となり、想定外の大善戦を演じている。大宮戦の先発選手のうち4人がレンタル選手で、大関も川崎からのレンタルだ。
こうしたチーム作りをしているクラブは、資金力のないJ3クラブでは珍しくはないが、毎年のように選手が大幅に入れ替わることで、継続的な強化を困難にさせている。