2003年に設立されたシリコンバレー発の小さなEVメーカーは、世界で最も売れるEVを生み出し、人々の生活や価値観を変える最先端企業へ成長した。まずはそんなテスラに興味がある、そしていつかはテスラ車に乗りたい! と憧れる読者なら知っておきたいテスラの基本をご紹介。
Q:モデル3って、どんなクルマ?
A:モデルSよりも手頃なセダン。テスラ株爆上げの”功労車”
モデルSは一定の成功を収めた。しかし売上規模は年間1万数千〜2万数千台と、なかなかニッチな部類だ。モデルX(2015年販売開始)と合算しても、年間5万台ほど。年間1万台強のフェラーリよりは多いが、年間で30万台以上販売するポルシェには遠く及ばなかった。
モデルSやモデルXは、カテゴリーとしてはフェラーリやポルシェ同様ラグジュアリーカーの部類となるが、イーロン・マスクはその市場にとどまるつもりは微塵もなかった。2番目に発売されたモデルSは、たしかに4ドアセダンとしては魅力的なEVだったが、サイズが大きいのに加え、価格も高価だった。そこで3段階目、もっと手頃な「モデル3」の価格は、「3万5,000ドル」に設定され、富裕層じゃなくても手が届くレベルとなった。
また、モデル3はボディサイズも全幅1.85メートル、全長4.7メートルと、モデルSに比べて幅で10センチ、長さで20センチほどコンパクト。日本の都市部の駐車場でも収まるサイズになった。イーロン・マスクは「日本の立体駐車場にも入るサイズにした」とその狙いを明かしている。
モデル3は2016年3月31日(木)に予約受付が開始された。この日、テスラストアには行列ができ、予約も殺到。なんと、受付開始から1週間で33万台もの注文が入ったという。まるで、iPhoneの新モデル発売時のような熱狂だ。しかもこのときの予約はデポジット1,000ドルが条件だったので、テスラは1週間で3億3000万ドルもの売上を記録したことになる。
しかしモデル3は、量産体制を構築するのに苦労した。2017年の納車台数はわずか1,770台。イーロン・マスクはこの年の7月、モデル3の最初の30台の納車式を行った際「我々は生産地獄に足を踏み入れようとしている。ようこそ生産地獄へ」と自虐的なギャグを工場のスタッフに向かって語り、自ら工場に泊まり込みで生産ラインを手伝った。
そしてモデル3を予約注文した客が、一向に車が届かない不満をSNSで拡散する。この時期ウォール街では、注文された車を約束通りに生産できないテスラは倒産するだろう、と予測する投資家もたくさんいた。「2018年中に資金が尽きるだろう」と。しかし、そんな投資家の辛辣な言葉などお構いなしに、テスラはファルコンロケットのように力強く上昇する……。
◆Model3 spec
全長×全幅×全高:4,694 mm×1,849 mm×1,443 mm
ホイールベース:2,875 mm
【パフォーマンス】
バッテリー:ロングレンジ
加速:3.3秒 0-100km/h(ロールアウトを差し引いた値)
航続距離※:605km、最高時速:261km/h
駆動方式:デュアルモーターAWD
重量:1,850kg、ホイール:20インチ
【ロングレンジ】
バッテリー:ロングレンジ、加速:4.4秒 0-100km/h
航続距離※:689km、最高時速:233km/h
駆動方式:デュアルモーターAWD
重量:1,850kg、ホイール:18インチまたは19インチ
【RWD】
バッテリー:スタンダードレンジ、加速:6.1秒 0-100km/h
航続距離※:565km、最高時速:225km/h、駆動方式:RWD
重量:1,760kg、ホイール:18インチまたは19インチ
※一充電走行距離は、WLTC モード(国土交通省審査値)。
各値は定められた試験条件下での数値となり、実際の航続距離は速度、
気象条件、使用条件や運転方法によって異なる。
文・CARSMEET web編集部/提供元・CARSMEET WEB
【関連記事】
・【比較試乗】「フォルクスワーゲン TロックTDI Style Design Package vs TDI Sport vs TDI R-Line」アナタならどのT-ROCを選ぶ?
・「キャデラック XT4」ジャーマンスリーをロックオン! プレミアムコンパクトSUVの大本命!【試乗記】
・【インタビュー】このプロジェクトを通して日本のモータースポーツをもっと元気にしたい!「ARTAプロジェクトプロデューサー・鈴木 亜久里」
・【国内試乗】「ホンダ N-ONE」見た目は変わらずも中身は大幅に進化
・【国内試乗】「レクサス・ニューLS」徹底的な作りこみを施した常にイノベーションを追求するフラッグシップ