NHKのインターネット活用業務の必須業務化に伴い、2025年度からネットのみでNHK受信契約を結べるようになる。NHKは今月8日、その受信料を地上契約と同額の月額1100円とすると発表したが、NHKが検討しているスマートフォン上での受信契約の解約条件が物議を醸している。「NHKを視聴できる端末を何も持っていないことを、なんらかのかたちで分かるようにしていただく必要がある」というもので、具体的な方法は検討中だが、SNS上では「解約するには捨てるしかない」「契約解除の自由がない」「解約不能」「時代遅れすぎる」などと批判が相次いでいる。また、一度「同意して利用する」ボタンをクリックすると同意を取り消すことができない点にも疑問の声が寄せられているが、なぜこのような形態が検討されているのか。

 現在、NHKはネット業務を「任意業務」「実施できる業務」と位置付けており、NHKのテレビ放送内容の「理解増進情報」に限定するとしてきたが、ネット事業を必須業務に格上げする改正放送法が5月、国会で可決、成立。今月8日には、テレビを持たずにスマホやパソコン(PC)でネットのみで視聴する契約の受信料を月額1100円にすると発表した(地上契約の受信料を払っている人は追加負担なし)。

 NHKは今月開いたメディア向け説明会で、ユーザはいったん契約すると解約するためには「NHKを視聴できる端末を何も持っていないことを、なんらかのかたちで分かるように」証明する必要があると説明。このような形態を検討している理由について「受信料制度をネットにも伸ばしている」「入ったり、やめたりが簡単にできるというのは受信料制度と違ってしまう」などと説明しているが、どういうことか。

届出書をNHKに郵送する必要

 現行の地上波の受信契約は、NHK放送を受信することのできる受信設備を自宅などに設置した者は必ず締結しなければならない。これは放送法により定められている。解約する場合は、以下の事項に該当する必要がある(以下、NHKの公式サイトより)。

(1)受信機を設置した住居にどなたも居住しなくなる場合
 ・2つの世帯が1つになる場合※
 ・世帯消滅
 ・海外転居 など
※ひとり暮らしの解消、単身赴任の解消など、2つの世帯が1つになる場合は、いずれか一方の受信契約が解約の対象となります。

(2)廃棄、故障などにより、受信契約の対象となる受信機がすべてなくなった場合
 ・受信機の撤去
 ・受信機の故障
 ・受信機の譲渡 など

 解約の申し入れはインターネットでは受け付けておらず、NHKの窓口に電話をかける必要がある。電話で窓口担当者に解約の理由を説明し、届出書を郵送してもらい、それに必要事項を記入。廃棄や譲渡の場合はそれを証明する証拠となるものを添付して、届出書をNHKに郵送しなければならない。

「たとえば家族と同居するために既存の自分の受信契約を解約するような場合、同居する相手側の名前や住所を聞かれ、相手側が受信契約をしているのかどうかをNHKが確認し、確認でまで解約が認められないかたちになっているはず。テレビを知り合いに譲渡するために解約する場合も、相手の名前や住所を聞かれ、譲渡の証拠の提出を求められることもある。『そこまで厳しくする必要があるのか』と思われるかもしれないが、そこはものすごく厳格にやっている」(NHK職員)