その理由は1955年初頭まで製造された極初期タイプのリアのエンジンフードがバーンドア(BARN=納屋の扉のような大きなタイプ)で、1953年末から装着されたリアバンパーが未だ装着されていないことから判断しました。

私の知る限り、メルクリン製VW マイクロバスには、3種類の金型が有るようです。今回ご紹介するモデルが最も古く、ブリキ製シャシーの文字が凸型でMARKLIN Made in Germanyと表記され、各ウィンドウのピラーが細く強度的に弱く随所に歪みが見られます。

素朴な作りながら実車の雰囲気を上手く表現した傑作のミニカー!「VWタイプ2(T1)マイクロバス」【丸餅博士のヴィンテージ・ミニカー・ワールド】
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

その後、シャシーの文字が凹んだ文字に代わりMARKLIN Volkswagen Made in Western Germanyの表記に代わり、前述のウィンドウピラーが太く強化され、タイヤもゴムからビニール系合成ゴムに代わりました。さらにリアバンパーが装着されて、フロントウィンドウのひさしとヘッドライト上部に小振りなスモールランプが装着されたバーンドア以降のセカンドモデルに代わりました。

素朴な作りながら実車の雰囲気を上手く表現した傑作のミニカー!「VWタイプ2(T1)マイクロバス」【丸餅博士のヴィンテージ・ミニカー・ワールド】
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

また、本来ならば、リアのバーンドアも小さくなるのですが、残念ながら金型はそのままでした。尚、5000番台は1957年頃から8000番台に移行し、その時からシャシーの刻印も凸文字から凹文字に変更されたのではないかと思われます。8000番代は一部を除き我が国に輸入されたと思いますが、その前身の5000番代シリーズは未輸入だったと思われます。

ちなみに5524/14がマイクロバスの品番ですが、後ろにEの文字が付くと1色のボディカラーで実車のコンビ(デリバリーバンにサイドウィンドウを装着し、脱着式後席のコーマーシャルバン)で、Zの記号が付くと2トーンカラーの品番はマイクロバス(スタンダード)となります。新品番は8013が1カラーのコンビ、8014が2トーンカラーのマイクロバスに改番されました。

素朴な作りながら実車の雰囲気を上手く表現した傑作のミニカー!「VWタイプ2(T1)マイクロバス」【丸餅博士のヴィンテージ・ミニカー・ワールド】
(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

今回ご紹介するミニカーは、1950年代初頭の商品であるため、一体成型のボディとブリキ製シャシー、アルミ製引き物のホイールにゴムタイヤのみで作られ、ウィンドウスクリーン、シート、サスペンションも無い大変素朴な作りのミニカーですが、プロポーションが正確で、ライトベージュとブラウンベージュ2トーンカラーも含め、実車の雰囲気を上手く表現した傑作ミニカーだと思います。

今回の個体は、各部に傷があり、程度は良くありませんが、当時のオリジナルのまま60年以上生きながらえ続けて来た年輪と共に鑑賞を味わっています。

文・丸餅博士(門内 文明)/提供元・CARSMEET WEB

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