男女の大いなる違いを表す言葉に「男は火星から、女は金星からやってきた」というフレーズがある。それを言葉通りに体現している村が、ナイジェリア南部の人口1万4000人の農村ウバンだ。なんと彼らは、男性と女性が独自の言語を持っているのだ。
■男女で異なる言語を話すウバンの人々
同じコミュニティで一緒に育った男性と女性が、異なる言語を話すとは信じがたいが、ウバンの住民の場合、それは完全に真実だ。
「それはほとんど、2つの異なる言語のようなものです」と、コミュニティを研究する人類学者のチチ・ウンディー博士は言う。そして「男性と女性が共有する言葉も多くありますが、性別によってまったく異なる単語もあります。同じように聞こえない、同じ文字ではない、まったく異なる単語です」と続ける。
例として、彼らは「衣類」の場合、男性は「nki」と言い、女性は「ariga」と言う。「木」を表す言葉は、男性は「kitch」で、女性は「okweng」と言う。これらは、発音の微妙な違いではなく、まったく異なる単語であるのだという。
オリバー・イバン首長は、英BBC放送のインタビューに答えてこう説明した。
ウバンでは子供は生活のほとんどを母親やほかの女性と過ごすため、子供たちは約10歳まで女性の言語を話す。しかし「10歳までに男の子は、男性の言語で話すことが期待されます。子供から男性に成熟した時、その子は男の言語を話し始めます」とイバン首長は解説する。
そして男女それぞれの子供が、特定の年齢までに性別に沿った言語に切り替えない場合、彼らは「異常」と見なされるとイバン首長は述べた。
この言語の起源については、さまざまな推論がある。ウバンのコミュニティの人々の65%はキリスト教で、彼らは聖書を使ってこう説明する。
「神はアダムとイブを創造し、彼らはウバンの人々でした。神の計画は、各民族グループに2つの言語を与えることでしたが、ウバンのために2つの言語を作成した後、十分な言語がないことに気づきました。それで神は計画を取りやめました。だからこそ、ウバンだけに2つの言語があります。私たちは世界の他の人々とは異なります」(ある村人)