試合の入りは清水ペースだった。深く引いて守る水戸に対し、前半20分までで6本ものシュートを浴びせ、水戸にはシュートを許していなかった。

ところが、水戸がワンチャンスをモノにする。前半23分、FW中島大嘉の持ち上がりから、DF大崎航詩の左足シュートが清水DF蓮川壮大の足に当たり、ゴールに吸い込まれた。これで水戸が勢い付き、前半38分には、右ウイングに入ったDF長澤シヴァタファリのアーリークロスに、中島が上手く左足で合わせ追加点。清水側ゴール裏は静まり返った。

思わぬ展開に、清水の秋葉忠宏監督は珍しくハーフタイム明けに動く。MFルーカス・ブラガとMFカルリーニョス・ジュニオを下げ、FWドウグラス・タンキと、8月10日のホーム(IAIスタジアム日本平)のザスパクサツ群馬戦(4-0)以来の復帰戦となるMF松崎快を投入した。

さっそく後半2分、タンキのポストプレーからFW北川航也が追撃の1点を返すと、後半22分にMF乾貴士に代わってピッチに入ったMF矢島慎也が後半37分、ペナルティエリア外から右足を一閃。相手DFに触れたボールがゴールに突き刺さり、試合を振り出しに戻した。

その後は完全に清水ペースとなり、記録されたパス数は650本を超えたが、水戸も守り一辺倒ではない。この日、後半11分から投入されたFW久保征一郎、FW山本隼大の高さを生かした反撃の機会を伺う。しかし、このまま試合は終了、勝ち点1を分け合う形となった。清水は直近5試合で先制されても逆転、あるいは引き分けに持ち込むしぶとさを見せたものの、昨季の悪夢を払拭することはできなかった。

水戸にとっても、これで3戦勝利なしとなったが、水戸が引き分けに持ち込んだ相手はこの日の清水と、昇格プレーオフ進出圏内のファジアーノ岡山(9月22日0-0)だ。

水戸ホーリーホック 写真:Getty Images

四半世紀に渡る“J2の番人”水戸