「世界一安全なスタジアム」を標榜するJリーグだが、歴史を重ねるに連れこうしたトラブルも増えてきている。発煙筒の投げ込みが常套化している海外サッカーを気軽に見られるようになったことも影響しているだろう。しかし、Jリーグが掲げたそのスローガンが、危機に立たされているのが現実なのだ。


Jリーグ旗 写真:Getty Images

「ゴール裏封鎖」をスタンダードに

もはや、クラブへの罰金は過激派サポーターにとっては、何の効果もないことは明らかだ。だからこそ「ゴール裏封鎖」という処分は妙案だと思えるのだ。

もちろん主催クラブにとっては、年間シートの取り扱いや返金対応、過激派サポーターが別のエリアに集結しないか監視するなど、煩わしい作業が増えてしまうことになるが、暴力のない安全なスタジアム環境を作り上げていくためには必要なことだ。

また、そうした過激派サポーターがアウェーの地で鬱憤晴らしを企てる可能性もあることから、クラブ単独の問題とせず、リーグ全体で取り組んでいく必要があるだろう。

今回、ラ・リーガで出された「ゴール裏席封鎖」という処分が、世界的なスタンダードになっていくがどうかはまだ不透明だ。しかし、ゲームを楽しみたい良識あるファンを巻き込むことなく、暴力や差別をスタジアムから追放するこの試みは、Jリーグにとっても他山の石でないことだけは確かだ。