ー前半(川崎の)プレスがはまらず、ボールを相手に回されスペースも利用されました。相手が何か(戦前の)想定と違うことをしてきたのか、それとも川崎側の問題(単に自軍の作戦の不徹底)でしょうか。

「ほとんどが想定のなかでのプレーでしたが、相手が上回ったシーンも当然あります。どちらかというと横に(ボールを)動かしてくるようなチームでしたので、片方(のサイド)に追い込んだ時にそこで閉じ込めたかったですが、中盤を経由されて逆サイドに持っていかれた。そういうシーンが非常に増えてしまったなと思っています。それもチームとして共有していましたが、そこがひとつ相手に上回られた部分ですね」

「もうひとつは、 (光州の)両サイドが高く張っていましたが、そこに少し引っ張られすぎたというところ。自分たちがプレスに行くのであればスライドが必要でした。また、相手の18番ホ・ユル選手の高さ(空中戦の強さ)のところですね。そこにパスが入ったタイミングでこぼれ球を拾えなかったり、非常にそこに引っ張られた部分もありました。(自分たちの陣形を)もっとコンパクトにしたかったのですが、何本かそういうのが通ることによって間が空いてしまった。当然そうなると相手が動かしやすかった(パスを回しやすかった)のだろうなと思っています」

サイドバックの立ち位置に工夫が見られた光州に対し、川崎は特に右サイドバックのファンウェルメスケルケンが自陣後方タッチライン際でボールを受ける場面がしばしば。ゆえに前述の図Bのような状況に陥り、相手サイドハーフ(ガブリエル)のマンツーマン守備も浴びたことで窮屈なパスワークを強いられた。

また、光州のように敵陣でマンツーマン守備を仕掛けることも徹底されていなかったため、アウェイチームの隊形変化を駆使したパスワークを止められず。特に川崎の2ボランチ、MF橘田健人と山本が中盤から飛び出して光州の2ボランチを捕まえに行く場面が少なく、これも川崎のハイプレスが機能しなかった原因のひとつと言えるだろう。芸術的な攻撃と緻密な守備を併せ持つ光州に、川崎は太刀打ちできなかった。