図Bのようにサイドバックが自陣後方タッチライン際でボールを受けた場合、左右どちらかのパスコース(タッチライン方面へのパスコース)が必然的に消える。また、サイドバック自身も相手サイドハーフやウイングFWのプレスを浴びやすい立ち位置のため、ボールを失うリスクも上がる。洋の東西を問わず、4バックを採用しているチームの多くがサイドバックをこの位置に立たせたうえでパス回しに参加させており、その結果ボールを奪われているが、光州はこのようなミスが少なかった。
守備も緻密だった光州
光州は攻撃面のみならず、守備面でも周到さを見せつける。川崎が最終ラインからパスを回そうとするやいなや、DFホ・ユルとFWシン・チャンムの2トップが川崎のセサル・アイダルと高井幸大の両DF(2センターバック)を捕捉。これに加え、自陣後方へ降りパス回しをサポートしようとする川崎の2ボランチを光州の2ボランチが追跡したほか、川崎の両サイドバックにも光州の両サイドハーフがマンツーマン守備を行っていた。
自陣に立っている全ての選手をマンツーマン守備で捕捉されたため、川崎としては攻撃が困難に。試合序盤から窮屈なパス回しを強いられたうえ、前半19分に自陣でのパスミスから光州の速攻を浴びると、川崎の最終ライン背後を突いたキム・ジンホをセサル・アイダルがペナルティエリア内で押し倒してしまう。この反則で光州にPKが与えられ、キッカーを務めたMFヤシル・アサニにこれを物にされた。
ここでは右サイドバックのキム・ジンホが前線へ上がり、川崎のセンターバック高井と対峙している。これと同時にセサル・アイダルに光州のFWシン・チャンム、中盤から最終ラインへ降りた川崎MF山本悠樹(ボランチ)には、アウェイチームの2トップの一角ホ・ユルがそれぞれマッチアップ。川崎の右サイドバック、DFファンウェルメスケルケン際にも光州のFWガブリエル・ティグロン(左サイドハーフ)が張り付いたため、川崎のパス回しは行き詰まった。