その穴を埋める補強が必須なのだが、JFLでは待遇やレベルがJリーグに比べて劣るため、移籍を希望する選手が続出するだろう。主力の流出は即チーム力の低下につながり、“ドロ沼”にハマり込む可能性もある。


日本サッカー協会 写真:Getty Images

JFL降格の場合の悪夢3:観客数の減少

さらにJFLはテレビ中継もネット配信もなく注目度が下がり、観客数の減少が避けられない。熱心なコアサポーターは別として、ライトファンの岩手県民からの関心は薄れ、サッカー熱も低下するだろう。観客数の減少は収益の減少に直結し、チームの士気低下を招くという悪循環に陥ることは必至だ。

16チームが所属する全国リーグであるJFLは、アマチュア混在といえどJリーグ昇格を目指す野心溢れるクラブも多く、実力が拮抗している厳しいリーグだ。盛岡はもちろん1年での再昇格を目指すことになろうが、JFLでも成績不振が続いてしまえば、さらに地域リーグへの降格というリスクも生じてくる。地域リーグまで降格してしまうとクラブの存続自体が危ぶまれ、サポーターはもちろん岩手県内のスポーツ熱への低下は避けられない。

第一、JFLに降格したとして、NOVAホールディングスが盛岡の事実上のオーナーであり続ける保証はどこにもないだろう。

同社は、英会話教室事業において、受講料を前金で支払ったにも関わらず授業が受けられないというトラブルが頻出し、結果、前身の株式会社ノヴァは2007年10月に439億円という巨額の負債を抱え倒産に陥った過去がある。投資会社の支援の下、再建を果たしたものの、赤字になると分かり切っているサッカークラブの経営を続けるメリットは同社にはなく、“損切り”される可能性もゼロではないのだ。

JFL降格に伴ってクラブの経営体制に対する批判や内部の混乱が生じ、フロントの責任問題や経営陣の入れ替えなどが考えられ、クラブの組織力やビジョンが揺らぐことにもなりかねない。