もちろん、逆転可能な現状では油断禁物なことに変わりはない。特に清水は昨季の最終節で自動昇格圏から陥落するという悔しさを味わっただけに、二度と同じ轍は踏みたくないだろう。しかし、圧倒的に有利な状況であることも事実。つまり、この上位2クラブが残りの5試合で目指すものは今季のJ2王者へとシフトしつつあると言えよう。
首位清水は残りの5試合のうち3試合が今季無類の強さを誇るホームゲーム。ここまで本拠地で無敗を続けていることは、最終節に近くなるほどチームに活力を与えるに違いない。今季の戦績を見ても、残りのカードでは4勝1敗と不安は少ない。ただし、横浜FCが全勝する可能性がある以上、1試合たりとも落とせない状況が続く。また、得失点差で離されていることから勝ち点で並ばれるのも命取りだ。
まずは後顧の憂いを断つためにもいち早く昇格を決め、さらに勢いをつけたいところ。奇しくも昇格決定の可能性がある次節の相手は、昨年清水の昇格を阻んだ水戸ホーリーホック。さらに試合会場も敵地と因縁深いものを感じる。昨季の悔しさとの決別、そして昇格と優勝への大きな足掛かりとすべく、次節が最も意味を持つ試合になりそうだ。
一方の横浜FCは、残り5つの対戦カードにおける今季の戦績が2勝1分2敗と清水に比べやや不安要素がある。とはいえ、勝ち点3を得られなかった3試合はいずれもシーズン序盤のチームがまだ不安定な時期のもの。なにより、第15節から続く無敗は今なお継続中であり、チーム状態は明らかに前回対戦時とは別物となっている。清水との勝ち点差も、天王山を引き分けで終えたことで最小の「1」を保ったまま。得失点差が9と離れて優勢であることもあり、清水の取りこぼしがあれば勝ち点が並んだ時点で順位をひっくり返せる。
それでも不安があるとすれば、残りの対戦相手とその置かれている状況か。9位レノファ山口こそ直近の連敗でプレーオフ圏争いから脱落しつつあるものの、現時点では5チームがいずれもプレーオフ進出や残留が懸かっている相手。対戦時の状況によっては、これまで以上に決死の覚悟で挑んでくる可能性もあり、苦戦を強いられることは十分考えられる。