まるで異次元からやってきたかのような身元も出自もまったく不明の少年はいったい何者なのか。バーデン大公の隠し子ではないかとの噂も取り沙汰された少年の毛髪をDNA分析して分かったこととは――。

■謎の少年、カスパー・ハウザーの毛髪をDNA分析

 謎の少年、カスパー・ハウザー(1812-1833)は1828年5月26日、現在のドイツ、バイエルン王国ニュールンベルクの広場で、近くの軍事施設の衛兵によって保護された。

 身支度の整った15、6歳ほどの少年であったが、施設の詰所で話を聞いても要領を得なく、コミュニケーションが成り立たなかった。所持していた手紙は少年の父親が書いたもののようで、少年を軍に入隊させてほしいとの請願の言葉と、少年の名前が「カスパー・ハウザー」であることなどが記されていた。

謎の少年『カスパー・ハウザー』に新展開!?DNA解析で浮かび上がる真相とは・・・
(画像=カスパー・ハウザー 画像は「Wikimedia Commons」より,『TOCANA』より 引用)

 手紙を書いた父親の手がかりもつかめず、結局カスパーは孤児として市当局の保護下に置かれた。カスパーは言葉(ドイツ語)を理解することも話すこともできず、一般常識をほとんど知らなかった。

 カスパーの名前と容貌が世の中で知られるにつれ、顔つきがバーデン大公に似ていることが指摘されるようになり、大公の隠し子ではないのかという噂も語られるようになった。

 こうして世の注目を集めていたカスパーだったが、1833年12月17日、正体不明の男に襲われ刃物で殺害されてしまう。犯人は犯行後すぐに逃亡しその後も見つかっていない。

 こうしてすべてが謎のままにカスパーはその短い生涯を終えることになる。

 彼の血痕や毛髪からこれまでにもDNA分析が行われてきたのだが、バーデン大公の子供であるかどうか、矛盾する研究結果もあり微妙なままであった。やはりカスパーはバーデン大公とは何の関係もないのだろうか。

 そしてこの9月にオーストリアのインスブルック医学大学をはじめとする国際的な研究チームが「iScience」で発表した研究では、あらためてカスパーの毛髪のDNAが分析された。

 研究チームがカスパーのミトコンドリアDNAと、バーデン大公家の構成員のミトコンドリアDNAとを比較検証したところ、両者のDNAは符合しないとの分析結果に到った。カスパー・ハウザーは99.9994%の確率で王子ではないということだ。

 結局のところカスパーの謎はそのまま残されることになったが、西ヨーロッパのどこかの家系に関連していることは確認されたという。

 カスパー・ハウザーの身元はこの先も永遠に謎のままなのだろうか。場合によっては“タイムスリップ説”や“パラレルジャンプ説”も検討しなければならないのかもしれない。

文=仲田しんじ

提供元・TOCANA

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