清水にとっては首位攻防戦というだけではなく、スポンサーを巻き込んだ大イベントという側面もあった一戦。試合前から人気タレントを招いてのトークショーや、ド派手なドローンショーなど、J2の試合とは思えない演出で、5万5000人を超える観衆を楽しませ“サッカー王国”の意地を見せた。
2002年2月23日のゼロックススーパーカップ(対鹿島アントラーズ1-1/PK5-4)以来、勝利のない国立競技場で鬼門突破はならなかったが、この試合に関してだけなら、横浜の術中にハマりかけていたところを引き分けに持ち込んだことで、ポジティブに捉えることもできるだろう。
勝ち点差「1」のまま残り5節。優勝争いは最終節まで続く可能性が高まった。
清水の残り試合の相手は水戸ホーリーホック、モンテディオ山形、栃木SC、いわきFC、ロアッソ熊本。横浜の相手は鹿児島ユナイテッド、ベガルタ仙台、ファジアーノ岡山、栃木、山口だ。いずれもJ2残留や昇格プレーオフ進出がかかっているチームが多く、気を抜けない相手だ。
清水にアドバンテージがあるとすれば、今季無敗(12勝3分け)を誇る本拠地アイスタ(IAIスタジアム日本平)での試合を3試合残しており、37節と最終節を連続してホームで戦える点だろう。
対する横浜は、これで19戦負けなしとなりクラブの連続無敗記録を更新したが、逆転優勝へ求められるのは「勝ち点3」だ。アシストランキングを独走するDF福森晃斗の左足を生かしたセットプレーは確かに脅威だが、勝ち切るためには“プラスα”が必要になってくるだろう。2022シーズンにも同クラブをJ1昇格に導いた四方田監督の手腕の見せ所だ。