先に動いたのは清水の秋葉忠宏監督。後半10分、ブラガに替え控えに甘んじていたFWカルリーニョス・ジュニオを投入する。
しかし、スコアを動かしたのは横浜だった。この直後の後半11分、MF中野嘉大のクロスにFW高橋利樹が頭で合わせ、このシュートがクロスバーで跳ね返されたこぼれ球にパウロは反応し、GK権田修一の壁を破った。
先制された清水は後半23分、秋葉采配としては珍しく3枚替えを敢行。MF矢島慎也、MF宮本航汰、DF北爪健吾をピッチに送り込み、フォーメーションも3バックに変更し反撃を仕掛ける。
対する横浜の四方田修平監督は、同時にFW伊藤翔とFWカプリーニを投入。守りに入る姿勢を見せず、徐々に試合はオープンな展開となる。
清水MF矢島の推進力から同点へ
清水にとっては“負けパターン”に陥る流れだったが、ここで存在感を見せたのが矢島だ。浦和ユース育ちで年代別代表でも活躍した上で、トップチームに昇格しながらも通算5シーズンで23試合2得点と結果を残すことができず、その後5クラブ(ファジアーノ岡山、ガンバ大阪、ベガルタ仙台、大宮アルディージャ、レノファ山口)を渡り歩いた苦労人だ。
後半29分、カルリーニョス・ジュニオからのパスを受け、持ち前の推進力でペナルティーエリア前に侵入し、ゴール前に詰めていたDF原輝綺にラストパス。原のシュートはGK市川暉記にセーブされるが、そのこぼれ球に反応した宮本がゴールに押し込み、同点に追いついた。その宮本も、この大一番で宇野にスタメンの座を奪われた悔しさを、得点という形で晴らした格好だ。
その後、四方田監督は、後半33分にFW櫻川ソロモン、FW村田透馬を投入。FW登録の選手を前線に4人並べ、あくまで「勝ち点3」にこだわる。
清水も5バック気味に構え、横浜のクロスを跳ね返し続ける。後半45分にDF山原怜音に代わって投入されたDF高木践も守備面の強度のみならず、ボールを持つと相手陣地にドリブルで侵入しこの日フル出場のMF乾貴士とのワンツーを試みるなど、短時間ながらも新たな一面を見せた。