住宅の取得は多くの人にとってぜひ実現させたい目標だろう。しかし日本の不動産価格は高く、自己資金のみで取得することは難しいため、どうしても住宅ローンを組まざるを得ない。

当然、銀行などで借りる住宅ローンも他の借入と同様に審査があるが、それはどのように行われるのだろうか。

住宅ローンの審査のポイント

融資は本来、借り主の返済力を正確に見積もって返せる範囲内で行うべきものだが、住宅ローンの審査で一番重視されるポイントは担保となる住宅、すなわち土地と建物の価値だ。貸す側の金融機関が調べるのは、その担保物権となる住宅の価値、転売可能性、物件の瑕疵なのだ。

頭金が少なくてもローンが下りるのも、ローンの使途となるマンションなどの物件に価値があるためだ。

この不動産価値の査定は非常に厳しく行われる。そこには、バブル崩壊後銀行が大量の不良債権を抱えることとなったことが背景にある。

1980年代の不動産バブルが崩壊した後、担保であった不動産の価格が大幅に下落。さらに、景気の悪化の中でバブル期以前に設定された変動金利の金利固定期間が終了し、急に返済額が増えることで返済できないケースが増加した。住宅ローン残高よりも物件価格が下回るケースが頻発し、返済できずに自己破産する例もたくさんあった。

住宅ローン審査にクレジットカードの信用情報が使われる可能性がある

金融機関は借り主の信用力については敏感だ。借入をして金融事故、長期の延滞、自己破産などを起こしている場合にはまず住宅ローンの審査には通らない。

銀行業界には独自の信用情報機関であるKSCがあり、ここに銀行業界での借入情報は蓄えられ、融資の際にはこの借入を申し込んだ人の個人信用情報を取得して延滞や金融事故がないかを確認する。

その中には、銀行が発行しているクレジットカードの情報も含まれており、延滞や金融事故を起こしている場合には、住宅ローン融資は行われない。

銀行が発行するクレジットカードの信用情報は見られる

クレジットカードを発行している銀行は、カード業界の信用情報機関であるCICに加盟しており、クレジットカードのショッピング情報を照会することができる。

従って、クレジットカードのショッピングで事故を起こしたり、延滞を何度も起こしたりしている場合には、住宅ローンの審査には通らない可能性が高い。

クレジットカードを発行していない銀行はCICの情報は見ることはできないので、住宅ローンの審査でもKSCに登録されているカード情報のみで判断することになる。銀行系のクレジットカードを持っていなければ、事故を起こしていてもわからないのだ。

ただし自己破産などは官報で公示されるため、どの銀行でも分かる。この場合も住宅ローンの審査には通らない。また自己破産と個人再生法申請の場合は、JICCやCICなどは5年で情報は消えてしまうが、銀行業界の信用情報機関KSCでは10年間登録情報として掲載される。従って、自己破産や個人再生申請をした場合は、10年間は住宅ローン審査は通らないだろう。

クレジットカードに延滞がある場合

クレジットカードに一時的な延滞があっても、長期延滞による契約解除、自己破産などの金融事故を起こしていない場合、住宅ローンの審査にまで影響があるかどうかは微妙だ。

短期の延滞なら返済すればクレジットカードの使用に影響は出ないため、住宅ローンの審査が全く下りない理由にはならない。しかし、短期の延滞であっても、何度も起こしたりしていると審査の通過は難しくなる。

クレジットカードの審査が甘い理由

クレジットカードは、かつては大きな買い物をする際に財布代わりに使われていたが、現在では普段の買い物でもカードで決済する人が増えている。成人一人当たりのクレジットカード所有枚数は2.6枚となっており、すっかり定着していると言える。

しかし、クレジットカードの審査は割賦販売の時代の審査を引き継いでおり、現代でもそれほど進化しているとは言えない。無担保無保証人で融資するカードローンに比べると審査は甘く、大手消費者金融会社のカードローン審査よりも高いと言われている。

もともとクレジットカードは、割賦販売からスタートしており、購入した商品が担保になっていることもあり、延滞率や金融事故率は低いため甘い審査を行ってきた。

それは現在でも続いており、大手消費者金融会社のようにスコアリングシステムによる審査も行われていない。

住宅ローンの返済遅れはクレジットカード審査に影響を与えるか

しかし、甘い審査をするクレジットカードであっても、他社の借入の返済遅れや他社における金融事故に対しては厳しい。借入返済が遅れたり、金融事故があったりする場合にはクレジットカード審査でも通りにくいだろう。

クレジットカード会社が住宅ローン返済の遅れや金融事故を把握することは難しい。クレジットカード会社は銀行業界のKSCに加盟することはできないからだ。ただし自己破産した場合は官報で公示されるため、カード会社もその情報は把握できる。

とはいえ基本的に住宅ローンを組んでいるということは、住居用不動産があるということ。そのため、自己破産になるケースは最近では少なくなっている。

クレジットカードを銀行に申込んだ場合には、確実にカード審査に影響して審査に通ることは難しい。住宅ローンの返済遅れの情報は、KSCを通して申込みをした銀行に知られるからだ。

住宅ローンに遅れがある人がクレジットカードを申込むなら、銀行などではなくクレジットカード会社に直接申し込むか、提携先から申込んだほうがいいだろう。他の借入がなく、クレジットカードの返済に遅れもない場合は審査には通りやすい。

住宅ローンの返済が遅れるなら? 生活再建を優先すべし

そもそも住宅ローンで遅れが生じている人は、その他の借入も遅れている可能性が高い。住宅ローン返済が遅れているということは、生活費が足りていない、言いかえれば生活そのものが崩壊している可能性が高い。クレジットカードやカードローンを申し込むよりは、生活そのものを再建する必要がある。債務整理も一つの手段だろう。

銀行の信用情報機関KSCとクレジットカード業界のCIC 相互の交流はない

銀行業界の信用情報機関KSCとクレジットカード業界のCICは、情報の統合や情報交流は行われていない。

銀行業界のKSCが保有する情報が見られるのは銀行だけ、クレジットカード業界のCICは、加盟しているクレジットカード発行会社だけだ。

しかし貸金業法の総量規制の必要性から、キャッシング情報についてはCICは消費者金融業界のJICCと交流を行っており、両方が見ることができる。

総量規制は、個人の銀行を除くすべての借入合計が年収の1/3を越えるような融資をすることを禁じている。このためカードローン審査やキャッシング審査においては、JICCとCICに登録されている借入金残高が、年収の1/3を越えていないことを確認する必要がある。

ただし貸金業法は銀行を規制対象としていない。KSCの情報はカードローン業界のCIC、消費者金融業界のJICCとの個人信用情報の交流はできていない。

KSCとCICの情報交流はなく、住宅ローンのみならず、銀行業界での借入情報はクレジットカード会社からは見られない。

一方でクレジットカードを発行している銀行はCICに加盟できるので、銀行はクレジットカードの返済遅れ情報は知ることができる。さらに、銀行はJICCにも加盟することができるため、銀行以外の返済遅れ、金融事故についての信用情報についてもすべて把握できる。銀行に住宅ローン審査を申込んだ際には、すべての借入、クレジットカードについての延滞情報を把握できる。このように、金融面での信用力調査は非常に厳しい。

CICと消費者金融業界の信用情報機関JICCの情報交流はある

CICは、消費者金融業界のJICCとはキャッシング情報の交流を行っている。

JICCにはクレジットカード会社も銀行なども加入が出来る。カードローンを発行している銀行も、すべてが加盟している。従って、住宅ローンの審査の際にはJICCに登録された融資の返済遅れは把握することができる。

信用情報を一番見られる立場は銀行 だが無担保ローンの審査能力は低い

銀行、クレジットカード、消費者金融のすべての借入情報を銀行は見られる。しかも、クレジットカードを発行している場合には、ショッピング情報も見ることができるため、最も信用情報を確認できる立場にいる。

しかし、それらの情報は、住宅ローンなどの融資の返済能力審査に生かされているとは言い難い。特に無担保無保証人のカードローンの場合には、保証会社の保証がなければ融資できない状況にある。すなわち、借入申込者に対する返済能力についての与信能力がないのだ。

住宅ローンの返済力審査能力も低い

それは住宅ローン審査にも現れており、金融事故以外についての審査は非常に甘くなっている。日本人は住居に対する執着心が強いため事故が少なく、返済不能になっても担保不動産を売却することで回収できる見込みがあるからだろう。

ただしバブル崩壊後にはその担保不動産による回収そのものが難しくなり、多くの不良債権を出してしまった。そのため、住宅ローンにおける担保評価額に対する融資額は、従来よりも低く設定せざるを得なくなっている。

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執筆・モリソウイチロウ

「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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