2020年は新型コロナウイルスの流行により、あらゆる物事が変化した年でした。その中でも飲食業界は、最も影響を受けた業界のひとつだといえるでしょう。

帝国データバンクの調査によると、 2020年1月から11月までに既に736店の飲食店が倒産 し、 居酒屋は179店が倒産 し年間の倒産件数として過去最多を記録するなど、業界全体として大きな打撃を受けた一年になったといえます。一方、テイクアウトやデリバリーの普及により、UberEatsや出前館といったデリバリー代行サービスなどが拡大するといった変化もありました。

では、アフターコロナの社会へと突入すると考えられる2021年は、飲食業界にどのような「ニューノーマル」が定着するのでしょうか。2020年を振り返りながら考察していきます。

目次
2020年の飲食業界動向は?
2021年 飲食業界の“ニューノーマル”大予想
  1. ドライブスルー
  2. 非接触サービス
  3. キッチンカー
  4. サブスクリプション
  5. おひとり様需要
  6. パーソナライゼーション
  7. 空き時間活用
  8. ハラル・ベジタリアン対応
まとめ:飲食業界のニューノーマルへの対応を

2020年の飲食業界動向は?

2019年の「タピオカ」ブームやインバウンドの伸びを受け、2020年は原価率が低く出店場所を問わないスタンド形式の店舗やオリンピックを見据えた日本らしさを前面に押し出した和食店舗などが伸びると予想されていました。

しかし実際のところ、新型コロナウイルスの流行という予想外の事態により、 2020年の飲食業界におけるキーワードは感染対策 となりました。

これを受け、飲食店では テイクアウトやデリバリーへの対応、社会的距離(ソーシャルディスタンス)の確保、非接触でのサービス提供 など、いかに感染リスクを抑えられるかが喫緊の課題だったといえるでしょう。

毎年の世相を反映した料理を決めるぐるなびの「今年の一皿」にもテイクアウト料理が選ばれるなど、2020年の飲食業界はこれまでとは全く異なる動向を見せました。

2021年 飲食業界の“ニューノーマル”大予想

2020年に広まったテイクアウトやデリバリーをはじめとする感染対策を念頭に置いたソリューションは、 2021年には一般的なものとして世間に浸透する と予想されます。

ここでは、2021年の飲食業界における 「ニューノーマル」となるであろう8つの要素 について、2020年の動向をもとに解説します。

1. ドライブスルー

▲お車ピザ:ピザハット公式サイトより(写真=口コミラボより引用)

 

2020年には新型コロナウイルスの流行により感染リスクの高い店内飲食は避けられるようになり、代わりに飲食店の料理を自宅で楽しめる テイクアウト・デリバリー が一般化しました。

UberEatsなどのデリバリー代行サービスが発展しましたが、一方で危険運転などのトラブルも報告されています。

そこで2021年以降は、自分で商品を受け取れる・かつ店内に入る必要のないドライブスルーが発展する可能性があります。

アメリカではドライブスルーによるテイクアウトが以前から普及していましたが、新型コロナウイルスの影響により、ファストフードチェーンの 米・マクドナルドにおける売上の90%はドライブスルーによるもの になったといいます。

日本でもドライブスルー導入の動きが進んでいるほか、ピザハットの「お車ピザ」のように、ドライブスルーを設置していない店舗でも 駐車場にて料理を受け取る形のテイクアウト が始まっています。また米・バーガーキングは、ドライブスルー専用店舗を展開すると発表しています。

今後ドライブスルーがこれまで以上に拡大すれば、消費者はこれまでの店内飲食と合わせてより柔軟に料理を楽しめるようになるでしょう。

2. 非接触サービス

▲EVERING:EVERING公式サイトより(写真=口コミラボより引用)

 

テイクアウト・デリバリーを利用した自宅での飲食需要が拡大した一方、店内飲食における感染対策としてさまざまな 非接触サービス が次々と登場しています。

これまでも、おサイフケータイやSuicaなどの電子マネーによるFeliCa決済は一部で普及していました。

2021年には、QRコード決済やNFC決済をはじめとする多種多様な決済方式がより社会に普及すると予想されています。

QRコード決済であればQRコードを提示するだけで支払いができるため感染リスクに晒されないほか、マイナポイントなどのポイントによる割引も活用できます。

さらには、国内で流通しているほぼ全てのQRコード決済用端末で中国において普及しているAliPay(支付宝)やWeChat Pay(微信支付)にも対応できるため、 2021年の東京オリンピックにおけるインバウンド回復時の決済需要 にも応えられます。

また、昨今はVISAのタッチ決済やMastercardコンタクトレスの普及により、国際的規格である NFC決済 に対応する事業者が増えています。

2021年春には指輪型のNFC端末である「 EVERING 」が登場予定で、NFC決済の普及を後押しする存在として期待されます。

なお、非接触サービスは決済だけでなく、QRコードやNFCタグでメニューを表示できるサービスや料理を注文できるサービスなど、店内飲食における感染リスクを極力軽減するためのサービスが次々と誕生しています。

3. キッチンカー

▲キッチンカー出店のツイート:茨城県稲敷市公式Twitterより(写真=口コミラボより引用)

 

キッチンカーは、調理設備を備えた自動車 です。その多くはワゴンなどの車内にキッチンを備えており、焼きそばやたこ焼きなど、野外で気軽に食べられる料理を販売しています。

キッチンカーは100万円から300万円ほどの資本金で始められるほか、大勢が集まるイベント会場や公園などに自ら移動できるため開業場所に悩む必要もありません。

また、野外で販売するため新型コロナウイルスの影響もあまり受けない形で料理を提供できることから、2020年には 新しい飲食の形態として注目 されました。

たとえば、茨城県の江戸崎パーキングエリアにはレストランが設置されていないため飲食需要が解決されていませんでしたが、キッチンカーの出店により休憩時に料理が楽しめるようになるなど、飲食需要を低コストで取り入れています。

キッチンカーは、今後もイベントなど臨時の飲食需要などに応える存在として活躍が予想されます。

4. サブスクリプション

▲新宿ミロードドリンクパス:新宿ミロード公式サイトより(写真=口コミラボより引用)

 

2020年は飲食業界において、 食べ放題、飲み放題などのサブスクリプションが普及 しました。

たとえば、東京都のレストラン街「新宿ミロード」では毎月500円で館内16店舗の対象となる飲み物が来店1回につき1杯無料になるサブスクリプション「新宿ミロードドリンクパス」を販売しています。

また、居酒屋チェーン「金の蔵」では毎月4,000円で通常価格1,800円の飲み放題が1日1回無料になるサブスクリプション「飲み放題定期券」を販売しています。

新型コロナウイルスの感染リスクにより店内飲食の機会が減る中で、外食の多くを自店に費やしてくれる常連客の存在は飲食店にとって重要なものです。サブスクリプションを購入してもらえれば、常連客として何度も来店してもらえる可能性が高まります。

2021年もサブスクリプションの普及は続き、 カフェやラーメン店など、より多種多様な飲食店が独自のサブスクリプションを提供 するようになるのではないかと考えられます。

5. おひとり様需要

▲味集中カウンター:一蘭公式サイトより(写真=口コミラボより引用)

 

飲食店における新型コロナウイルスの感染リスクは、主に飛沫感染が原因であるとされています。

その飛沫感染の防止のため、 一人席を用意している店舗の存在 が注目を集めています。

たとえば、ラーメンチェーンの一蘭では「 味集中カウンター 」と称される一人客向け席を設置しています。この「味集中カウンター」では隣の席の間に仕切りを設け、一人でも周囲の目を気にすることなくラーメンを食べられるようにしています。

2020年時点では、一人席の設置は一部のラーメン屋や焼肉屋などに留まっています。

しかし、2021年には居酒屋やレストランなど、より多くの飲食店で一人席が取り入れられ、 新しい形の店内飲食として一般化 すると予想されます。

6. パーソナライゼーション

▲マクドナルドのドライブスルー:The Drumより(写真=口コミラボより引用)

 

パーソナライゼーションとは、 消費者一人ひとりの趣味嗜好に合わせて提供する商品やサービスを最適化すること を指します。

飲食業界におけるパーソナライゼーションの例として、ファストフードチェーンのマクドナルドが、AIを用いたパーソナライゼーションを実施しています。ドライブスルーの注文画面において、 その日の天気や店舗の混雑具合、そして顧客の購入履歴などからおすすめの商品を表示 しています。

2021年以降、テイクアウトやデリバリー、そして非接触での注文など、アプリを用いた注文が広まると予想され、 消費者一人ひとりの嗜好データがより簡単に収集 できるようになります。

そのため、2021年には居酒屋やレストランなどの飲食店でもパーソナライゼーションは加速し、 一人ひとりに合ったメニューを提案できる ようになるでしょう。

7. 空き時間活用

▲サブスペ:サブスペ公式サイトより(写真=口コミラボより引用)

 

2020年には店内飲食からデリバリーやテイクアウトへと需要が変化し、店内の座席が埋まらない飲食店が目立つようになりました。一方、新型コロナウイルスの流行によりテレワーク需要が増加し、外で座って仕事をできる環境を求める人々が同時に増加しています。

これら2つの事象が重なった結果生まれたのが、 飲食店のワークスペース化 です。

たとえば、ClipLineが提供する「 サブスペ 」では、空席をワークスペースとして貸し出したい飲食店とリモートワークができる場所が欲しいユーザーに対するマッチングを提供しており、ユーザーはカラオケやレストラン、居酒屋などの好みの環境でリモートワークができます。

このようなサービスを活用し、空席をワークスペースとして貸し出すことで店内飲食の減少分を補填できるほか、リモートワーク中のユーザーに飲み物や軽食を注文してもらい 結果的に店内飲食として消費してもらう ことも期待できるでしょう。

8. ハラル・ベジタリアン対応

▲ハラルとは:日本フードバリアフリー協会公式サイトより(写真=口コミラボより引用)

 

2021年は、2020年から延期された 東京オリンピックが開催される年 であり、インバウンド需要が一定程度復活することが期待されます。

そのため2021年の飲食業界では、インバウンド対策に関連するキーワードも重要となるでしょう。

「インバウンド対策」でまずやるべきものとして、多言語対応やWi-Fi整備、SNSでの情報発信などが挙げられますが、飲食店ではムスリム(イスラム教徒)向けの「ハラル対応」、肉や魚介類などを食べない人々向けの「ベジタリアン対応」といった、他国の食事情に合わせた対応が求められます。

まとめ:飲食業界のニューノーマルへの対応を

2020年の飲食業界では新型コロナウイルスの影響でさまざまな常識が一変し、 テイクアウトやデリバリーをはじめとする新しいサービスや概念への対応 が新型コロナウイルスの流行を生き残る鍵となりました。

2020年には驚きをもって迎えられた新しいサービスや概念も、2021年には ニューノーマルとして定着し飲食業界の日常になる といわれています。

Go To Eat キャンペーンで取得した食事券は2021年3月末まで利用できるほか、Go To Travel キャンペーンは2021年6月末までの延長が検討されています。

その先には東京オリンピックの開催が控えており、 2021年は飲食業界にとって復活の年になる可能性 もあります。

2021年はアフターコロナ時代に求められるニューノーマルに着実に対応し、長期にわたり持続可能な飲食店を創り上げることが求められるでしょう。

 

<参照資料>

PR TIMES:飲食店の倒産、過去最多を更新 コロナ禍が影響、居酒屋では大幅増加
ピザハット:お車ピザ
EVERING:EVERING - Touch Everything
新宿ミロード:新宿ミロード DRINK PASS 2020
天然とんこつラーメン一蘭:五つの元祖
The Drum:McDonald's aims to personalize Drive Thru experience with $300m Dynamic Yield acquisition
サブスペ:在宅勤務・テレワークの課題を解決するサブスペ(サブスペース)

 

提供元・口コミラボ

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