ロシアのプーチン大統領は7日、新たな6年間の任期をスタートする。今年3月の大統領選では87.28%と西側の政治家が夢にも見ることが出来ない高得票率で通算5選を果たした。5選目となるとその喜びも定例化して大騒ぎして祝うということはないのかもしれないが、プーチン氏個人にとって心が高まる瞬間であることは間違いないだろう。

正教会の復活祭の日、ロシア国民に祝意を表明するプーチン大統領=2024年5月5日(クレムリン公式サイトから)

正教会の復活祭の日、ロシア国民に祝意を表明するプーチン大統領=2024年5月5日(クレムリン公式サイトから)

少し、プーチン氏の5月のスケジュールを見ると、クレムリンで7日の就任式後、8日には2014年5月に設置されたロシア主導の「ユーラシア経済連合」の創設記念サミットが外国首脳を招いてモスクワで開催される。そして9日にはソ連の対独戦争勝利記念日の祝典が開かれ、プーチン大統領の演説の他、軍事パレードが挙行される。「キーウ政府のネオナチ政権」打倒を掲げて始めたウクライナ戦争は既に3年目に入っている。9日の式典でのプーチン大統領の演説内容が注目される。

外交では、今月15日から16日にかけ中国訪問、習近平国家主席との首脳会談が予定されている(変更もあり得る)。米国を中心とした西側世界に挑戦するプーチン氏としては中国との関係強化が不可欠だ。プーチン大統領はオランダ・ハーグに本部を置く国際刑事裁判所(ICC)から戦争犯罪人として逮捕状が発布されている身だ。プーチン氏が外遊できる国は中国や北朝鮮といったICC未加盟国しかない。ソ連国家保安委員会(KGB)時代を過ごしたドイツにも行けなくなった。プーチン氏は訪中でロシアが国際的に孤立していないことを見せつけたいところだろう。

プーチン氏は就任後、新しい政府を組閣するが、西側メディアによると、ミシュスチン首相やラブロフ外相など主要閣僚は留任すると見られている。注目されるのはショイグ国防相だ。四半世紀、25年余り政権を握っているプーチン氏の権力基盤はさぞかし安定しているだろうと想像するが、そうともいえないのだ。プーチン氏の最側近の一人、ショイグ国防相の左遷すらここにきて噂されているからだ。曰く、「プーチン氏は軍が余りにも強力過ぎると考え、ショイグ国防相の権限を制限しようとしている」というのだ。ショイグ国防相の信頼者イワノフ副国防相は収賄容疑で既に拘束されている。米国のシンクタンク、カーネギー研究所の政治学者、マクシム・サモルコフ氏は「全ては制御されているように見えるが、いつでも全てが崩壊・混乱する可能性がある」と述べている(ドイツ民間ニュース専門局ntv5月5日のニュース報道から)