日本に戻ってきて出勤したが、耳に届く雑音でくたびれてきた。カタールで感じた高揚感は一気に萎んでしまった。理由は簡単で、日本では大きなビジョンがなく、目先に小さなことに捉われているからだ。

中東のゲノム・プレシジョン医療の盟主を目指すはっきりとしたビジョンと長期的な大規模投資を目の当たりにして、あまりにも日本との違いを認識せざるを得なかったのだ。

カタール財団のWEBを見るとまず、「At the heart of everything we do is the knowledge that our future lies in unlocking the most precious resource of all—human potential.」という文章が目に入ってくる。

意訳すると「われわれの将来は、すべての人々のもっている大きな可能性を最大限に引きだす知恵に依存しており、それがすべてに優先される肝心なものだ」となる。

「人材を育てる」と言うのは簡単だが、その可能性を引き出すことが最も貴重なことであると明記されている。

日本は人材の可能性を封じ込めて、やる気をなくすことが多い。

私が参加したプレシジョンヘルスセンターの記事は下記にある。

上記にあるHer Highness Sheikha Mozaさんとは、前首長の妃(日本では皇后陛下に相当)、現首長の母上である。

首長は政治のトップでもある。

妃殿下率いるカタール財団が長期的なビジョンの元に教育と医療を推進している。

リーダーシップのない国と比較すれば、その差は大きい。

20年前に訪問したカタールと比べると、同じとは思えないくらい国が発展していたし、私が話をした研究者たちの目が輝いていた。

若い人たちの目が輝いていることは、国の将来にとって重要なことだ。