ウクライナのゼレンスキー大統領は13日、イタリアの首都ローマを訪問し、セルジオ・マッタレッラ大統領とジョルジャ・メローニ首相らと会談し、イタリアに「ウクライナの欧州連合(EU)加盟」支持を訴えた。メローニ首相は、「ウクライナの未来はヨーロッパの平和と自由の未来だ」と述べ、武器供給と人道支援でウクライナへ全面的な支援を約束した。その後、ゼレンスキー氏は同日午後、ローマ・カトリック教会の総本山、バチカン教皇庁を訪れ、フランシスコ教皇と会談した。
フランシスコ教皇はゼレンスキー大統領に「大統領の訪問に感謝します」と挨拶すると、ゼレンスキー氏は「お会いできて光栄です」と返答。そして両者の会談が通訳を入れて始まった。バチカンによると、会談は40分間余り続いた。ゼレンスキー氏は会談の中で、教皇にロシアのウクライナへの軍事侵略を明確に非難するように求め、「被害者と侵略者の間には平等はあり得ない」と強調したという。
フランシスコ教皇はウクライナの和平促進に向けてこれまで努力してきたから、ゼレンスキー氏との対面会談は願ってもないことだったはずだ。ただし、ウクライナ戦争の和平ではゼレンスキー氏と教皇は決して同一の立場ではない。最大の問題は、ウクライナ戦争の和平調停について語る時、教皇はロシアを戦争の加害国であるとは明確には非難してこなかったことだ。
教皇は過去、何度かキーウを訪問したいと述べてきた。教皇自身、先月末、ブタペスト訪問からローマに戻る機内で、「バチカン和平ミッション」の可能性を示唆した。教皇はその時も「キーウ訪問後、モスクワも訪ねたい」と語っている。教皇の和平外交では、キーウとモスクワは対等の交渉相手というわけだ。だから、フランシスコ教皇が調停役を演じるためにはキーウとモスクワの間で「中立的な立場」を維持することが前提条件となるわけだ。