「オープンループ」と呼ばれる、クレジット/デビット/プリペイドカード(以下、クレカ)を利用して運賃を支払う仕組みを導入する高速バス・空港リムジンバスや路線バスが増えている。観光地を走る路面電車として有名な「江ノ電」も今春からクレカのタッチ決済によるキャッシュレス決済サービスを導入し、東急電鉄も23年夏から一部の先行駅にて対応予定だ。今回は4月25日時点の情報をもとに、主な鉄道事業者の対応状況と対応予定(実証実験を含む)をまとめた。

チャージなしに電車に乗れる! 鉄道事業者の「タッチ決済」対応状況まとめ【2023年4月更新】
(画像=バスでの「タッチ決済」の決済イメージと「タッチ決済」のマーク
(2022年7月から羽田空港線で「Visaのタッチ決済」の実証実験を実施している西武バスの例)、『BCN+R』より引用)

クレカやスマホ一つで電車やバスに乗れる!

■江ノ島電鉄

江ノ島電鉄は、地域住民や国内外からの観光客の利便性向上を図るため、三井住友カードが提供する公共交通機関向けソリューション「stera transit(ステラ トランジット)」を活用し、4月15日初電からクレカのタッチ決済による運賃の支払いに対応した。無人駅を含む全駅にタッチ決済用改札機を設置し、改札通過時にタッチ決済用改札機に向けて「タッチ決済」搭載クレカや「タッチ決済」設定済のスマートフォン(スマホ)をかざすと支払える。

発表は東急電鉄より遅かったものの、実際の導入は首都圏エリア初となった。デビット/プリペイドカードの場合は即時決済、クレジットカードの場合は後払いとなる。利用可能な決済ブランドはVisa、JCB、American Express、Diners Club、Discoverで、銀聯、Mastercardについては順次追加する予定。

チャージなしに電車に乗れる! 鉄道事業者の「タッチ決済」対応状況まとめ【2023年4月更新】
(画像=江ノ島電鉄をはじめとする6社の協力によって
首都圏エリアで初めて「タッチ決済による乗車」がスタート、『BCN+R』より引用)

■京都丹後鉄道(WILLER TRAINS)

京都丹後鉄道は、今から約2年半前の2020年11月25日にVisaのタッチ決済によるキャッシュレス決済サービスを導入した。なお、同じオープンループ方式でも複数の国際ブランドのタッチ決済を利用できる交通事業者と、「Visaのタッチ決済」のみ利用できる事業者があり、京都丹後鉄道はVisaのタッチ決済オンリーだ。このため「Visaのタッチ決済」搭載カードを保有していない場合は利用できない。

チャージなしに電車に乗れる! 鉄道事業者の「タッチ決済」対応状況まとめ【2023年4月更新】
(画像=鉄道業界において日本初の「Visaタッチ決済」を導入した京都丹後鉄道、『BCN+R』より引用)

■東急電鉄【対応予定】

東急電鉄は23年夏から、東急線でクレカの「タッチ決済」と「コード表示」を活用した企画乗車券の発売や改札機の入出場に関する実証実験を開始する。まずは23年夏に一部先行駅(田園都市線を中心とした各駅)、24年春に東急線全駅を対象に実施する予定。

「渋谷」「横浜」「目黒」「二子玉川」といった主要駅と、まちづくりの実績などで高い知名度を誇る東急が対応スケジュールを早々に公開したことで、24年春には今以上にオープンループの認知度は高まりそうだ。

チャージなしに電車に乗れる! 鉄道事業者の「タッチ決済」対応状況まとめ【2023年4月更新】
(画像=「タッチ決済」を活用した実証実験を2023年夏から開始すると発表した東急。
発表時点では首都圏エリア初だった
(画像は、東急・阪急・阪神の3社で協働して展開している「SDGsトレイン」)、『BCN+R』より引用)

Osaka Metro【対応予定】

大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)は、24年度にVisaのタッチ決済による乗降車の実証実験を実施する。すでに25年の大阪・関西万博に向けたキャッシュレス・チケットレス改札の取り組みとして「顔認証改札機」の実証実験を行っており、タッチ決済にも対応することで、国内外から訪れる人々の多種多様なニーズに応えていく。