フランスの街角、「絵になる風景」

旅先の街角で「絵になる風景」に出会う喜び/溝呂木陽さんの好きな作品・代表作
(画像=シトロエン2CV。サイズ:縦×横310×410mm。画材:フランスアルス水彩紙に透明水彩と鉛筆、『CAR and DRIVER』より 引用)

この作品は、第3回AAF作品展(2014年6月開催)に出品した水彩画で、20年ほど前に訪ねた若い芸術家たちの街、モンマルトル(フランス)で出会った光景である。

パリで目にするシトロエン2CVの雰囲気は格別で、昔ながらの街並みと、使い込まれた古びたクルマの構図は、それだけで楽しい。うれしくなるのである。

市民が普通に生活する熱気にあふれた街角が、2CVにはいちばん似合う。ピカピカに磨き挙げられたプレミアムモデルとは異なる、ふだんの生活の活力が2CVには感じられるからだ。

ボンネットが2トーンカラーで仕上げらシトロエン2CVや、ルノー・キャトルは、かつてパリでよく見かける定番モデルだった。モンマルトルの坂道では、かなり古びたシトロエンDSなども、素晴らしくフォトジェニックな姿を見せてくれる。

モンマルトルの坂道を彩る個性派モデル

そしてボクの追憶というか、思い出は、蚤の市(のみのいち)で見たシトロエンAMI8や、シトロエンHトラック、アルファロメオ・ジュリエッタ・スパイダーなど個性的なクルマが、この街に見事に溶け込んで形成されているシーンである。

ボク流のパリ観光は、まずホテルを出て「軽装の散策」から始める。片手に小型カメラ、ポケットには手帳型マップ。地図を見て入り組んだ細い道があるあたりに、「絵になる風景があるのではないか」と期待をふくらませる。

実際、その角を曲がると「絵にしたい風景と古いクルマ」がたたずんでいたりする。ボクは夢中になってシャッターを押す。その指先から幸福感が伝わってくる。

パリでも古いクルマは次第に少数派になり、2CVのようなモデルはほとんどみかけなくなった。

今年(2014年)、ボクは3年ぶりにパリを訪れる予定だ。水彩画の道具とカメラを持って、7月の終わりのパリの街を絵にするつもりである。

みぞろぎあきら/1967年、千葉県出身。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。中学生のころから1960年代のクルマを描き続けている。海外旅行先・取材先の風景を水彩画作品にまとめる仕事もライフワークのひとつ。個展開催、ミニカー作りなど幅広く活躍している。

2022年、千葉県市川市に予約制私設ギャラリー「アトリエキャトレール」をオープン。アトリエインスタグラムで作品を公開中。AAF(オート モビル・アート連盟)会員。千葉県在住

提供元・CAR and DRIVER

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