クラウドファンディング国内大手のCAMPFIREは2021年3月、より安全・安心にプロジェクトに支援ができるよう、クラウドファンディング向けの保険制度「CAMPFIRE あんしん支援保証」を開始。2022年3月には本制度をリニューアルし、保証の適用範囲を拡大しました。

今回は弁護士の経験を経てCAMPFIREへジョインした取締役上級執行役員の髙山亜希子氏に、同社がプラットフォーマーとしての責任をどう考えているのか、どのように安心安全なプラットフォームづくりに取り組んでいるのかインタビューしました。

クラウドファンディングではどんなトラブルが多い?

——CAMPFIREではどのようなトラブルが多いのでしょうか?

髙山:全体から見るとトラブルの件数はわずかですが、ご相談いただくものの中だとリターンが届かない、かつプロジェクトオーナーに連絡しても返事がこないというケースが多いですね。

——プロジェクトオーナーと連絡が取れないというのはどういう状況なのですか?

髙山:支援者とプロジェクトオーナーは、CAMPFIREプラットフォーム内のメッセージ機能で連絡を取り合うことができます。

支援者がプロジェクトオーナーにメッセージを送信したにもかかわらず応答がない場合、その原因は、メッセージの確認不足など単なる対応の遅れということもありますが、中にはプロジェクトが予定通り進捗しておらず、リターンの発送目処が立っていないなど連絡への心理的障壁が高くなった結果として応答が滞っているようなケースもあります。

——プロジェクトオーナーと連絡が取れているのにもかかわらず、トラブルになっている事例はありますか?

髙山:支援者とプロジェクトオーナーとの間の連絡関係が保てている場合には、当社に苦情等を頂くことは通常ありませんが、プロジェクトに共感して支援したのに、その実行状況に対しての不満を当社にお寄せ頂くことはあります。

——なるほど。新型コロナウイルスの影響によってプロジェクトの進捗が遅れるというケースなどもトラブルの原因になるのでしょうか?

髙山:新型コロナウイルスの影響を受けてプロジェクトの進行が遅れたとしても、支援者がそこに納得感を持てる場合にはトラブルに発展することはあまりありません。

ただし、応援よりもリターン対象となる商品の購入という要素が強いプロジェクトの場合ですと、予定の履行期が遅れるようなことがあると支援者は敏感に反応します。

——その場合、支援者はECサイトで商品を買っている感覚なのでしょうか?

髙山:クラウドファンディングの場合、支援金がプロジェクトオーナーに届いてからプロジェクトが始動するのが通常なので、リターン品が届くまでの時間が長いのが特徴です。

商品が届くまでの間は活動報告ページなどでプロジェクトの進捗状況を確認するなど、いわゆるECサイトとはユーザー体験が異なります。したがって、クラウドファンディングとECサイトとの混同は多くはないと思います。

しかしながら、そうであっても、リターンが届かなかったり連絡がつかなかったりというトラブルを経験して初めて、ECサイトのように即返金を受けられないことを意識されるケースも否定はできないと思います。