サーキュラーエコノミーとDPP
-----サーキュラーエコノミーとDPPについても教えてください。
中谷:サーキュラーエコノミーは、ごみを出さないものづくりをしていくという思想です。サーキュラーエコノミーはバージン材の使用抑制につながるため、脱炭素にも寄与すると言われています。
digglueはもともとブロックチェーン技術でスタートした会社で、ブロックチェーンを活用してモノや排出物のトレーサビリティを取りたいというお話をいただいていました。
そういった中からサーキュラーエコノミーの潮流が到来し始めていると感じ、かつ社会課題でもあるので、我々としても取り組む意義が高いと考え、今ではパーパスを新たにし、サーキュラーエコノミーの実現にフルコミットしています。
DPP(デジタルプロダクトパスポート)は、製品のライフサイクルに関わる情報を付加し、アクセスできるようにする考え方で、EU発のコンセプトです。
どんな材料を使い、どのようなルーツを辿ってきたか(トレーサビリティ)、製品の廃棄時にはリサイクルできるのか、パーツごとにどのように処分できるかなどが分かるようになるため、サーキュラーエコノミーを実現するうえで、重要なコンセプトです。
一方で、取り組む企業にとっては非常に負担になることも考えられるので、効率よくDPPに必要な情報を取得できるようなサービスを作っていきたいと考えています。
サステナブルが注目される背景
-----脱炭素はいつ頃から注目され始めたのでしょうか。これまでも環境分野は一時的に注目を集めては下火になるという流れがありましたが、現在の流れも同じようになってしまうのでしょうか。
岡村:CO2の話で言うと、1990年代後半頃から京都議定書など、日本発の動きがありましたが、当時は政府主体の動きでした。しかし、昨今では、気候変動対応の主体者に企業も加わり、ビジネス観点でも脱炭素がキーワードに加わりました。
そのほか、ルール作りがうまい欧州が動きの中心にいることで、グローバル全体で脱炭素トレンドが高まったことが従来の流れとの大きな違いではないでしょうか。
ただ、炭素は大気中に蓄積され、濃度が濃くなっていくため、当時よりも気候変動インパクトが大きくなっており、経済活動のティッピングポイントを超えてしまうのではないかという議論があります。
ティッピングポイントとは、経済活動などによって環境への負荷が蓄積された結果、地球環境に不可逆的な変化が起きる限界値のことです。
ティッピングポイントを超えてしまうと、地球環境をもとに戻すことはできません。そのため「ティッピングポイントを超えないようにカーボンニュートラルを目指していく必要がある」ということが、社会の重要な共通ゴールとして認識されたのではないかと思います。