経営戦略を立てる際に活用できるフレームワーク「VRIO分析」。経営資源を4つの項目で評価し、現状の自社の強みと弱み、そして競合優位性を把握することができます。
そんな「VRIO分析」について解説。フレームワークのやり方や、同じく経営戦略を立てる際に使われる「SWOT分析」との違いや使い分けをご紹介します。自社の安定かつ長期的な成長を実現するには、「VRIO分析」による経営戦略が非常に重要なポイントとなってきます。
- 分析における4つの要素とは 1
- 分析のメリットとデメリットを理解しよう
- 分析のやり方を解説
VRIO分析とは
「VRIO分析」とは、自社の経営資源を客観的に評価するフレームワークのことです。自社の特徴や課題を洗い出せるため、経営戦略を立てる際に有効です。
「VRIO分析」を考案したのは、アメリカにあるユタ大学で教鞭を取ったこともある戦略理論家のジェイ・B・バーニー氏。経営資源を「Value」「Rareness」「Imitability」「Organization」の4つに分類して評価することから、頭文字を取って「VRIO分析」と呼ばれています。
Value:経済的な価値
「Value」は、企業の経済的な価値を評価する軸です。金銭に還元できる価値だけでなく、市場に対して生み出すことのできる付加価値の可能性なども考慮して、YESもしくはNOで評価します。
加えて、外部からの影響があったり、危機に直面したりした際にそのリスクを避けることができるかどうかや、ピンチをチャンスに変えられるかという観点でも評価します。
もしValueがないと判断できるのであれば、他社と比較して競争力が弱いといえるでしょう。
Rareness:希少性
「Rareness」は、希少性を評価する軸です。独自性と言い換えるとわかりやすいかもしれません。他社と類似したビジネスになっていないか、業界における希少性を有しているかなど考えて、YESもしくはNOで評価します。
もし希少性が薄い商品やサービスを展開しているのであれば、他社との競争は均衡状態にあるといえるでしょう。
Imitability:模倣可能性
「Imitability」は、模倣可能性を評価する軸です。他社が自社のビジネスを模倣しようとする場合のコストやリソースがどれくらい必要かを考え、類似商品を展開できる可能性があるかどうかを判断します。
特許技術や最新技術を用いていたり、資金や時間の面で多大なコストがかかってしまったりするのであれば、模倣可能性は低いといえます。競合他社に対して、一時的もしくは長期的な優位性を確保できているかどうかを判断可能です。
Organization:組織
「Organization」は、組織体制を評価する軸です。潤沢な経営資源が合っても、組織や業務フローが整っていなければ、それを活かすことはできません。
確立された業務体制や企業文化の醸成、意思決定のスピードや柔軟性などが分析項目です。「Organization」がYESであれば、自社の経営資源を最大限活用できているといえます。