記事では、「コンテンツ(投稿内容)の監視に関するルールが流動的であるか、全く存在しないように見える中での、こうした突然の大規模な認識の変化によってTwitterでの広告出稿のリスクが高まっている」とも指摘します。
例えばマスク氏の新方針で拙速に打ち出された月8ドルの認証マークでは、なりすましが横行、その一つ製薬メーカーEli Lillyのケースでは、デタラメ投稿のせいで株価が4.5%も下がったそうですから。
こうした事態を引き起こしたマスク氏本人や、TeslaやSpaceXというマスク氏の世界的ブランドについてはどうか。これについてもMorning Consultは、「消費者は企業のCEOに何を期待するか」という月例の調査を公表しており、その11月版ではケース・スタディとしてマスク氏を取り上げています。
それによると、マスク氏の米国での認知度は今年8月で94%にも達していました。これは97%のFacebookマーク・ザッカーバーグ氏に次ぐ2位で、90%を超えるのは93%だった”投資の神様”ウォーレン・バフェットと合わせて3人だけです。それほどの有名人ってことです。
しかし、先のTwitterの好感度と同じような正味の好感度は昨年2月には22ポイントに達していたものが、Twitter買収を明らかにした今年5月以降は下がり続け、10月には9ポイントまで下落しました。知名度が上がるにつれて彼の奔放な物言いと、Twitterを嫌う共和党支持者に拒否反応が広がったせいかもしれません。
いずれにしろ、彼は一番目立つ存在であり、技術革新にも前向きなことは多くの人が認めていますが、彼が正直で誠実な人物かどうか(31%が反対)、彼の価値観が自分の価値観と一致しているかどうか(35%が反対)については懐疑的な意見も一定数あります。
さらに先の中間選挙で、マスク氏が共和党支持を打ち出しましたが、このようにマスク氏が右寄りになると同時に、Twitter社内でのワンマンぶりが喧伝されればされるほど、上のグラフにあるような「好感度」と「信頼度」の歪みが顕著になって、ブランドへの影響も無視できない様相です。すでにTeslaブランドへの好感度も大幅に下がっているようですし。
編集部より:この記事は島田範正氏のブログ「島田範正のIT徒然ーデジタル社会の落ち穂拾い」2022年11月30日の記事より転載させていただきました。