台湾侵攻

習近平は、10月の共産党大会で3期目の党総書記、国家主席に就くことが確定した。だが人事を側近で固める一方、党主席への就任、「習近平思想」を党規約に書き込む事等には失敗した。長老達がその点で立ちはだかったと聞く。台湾併合については、長老達の心中にはブレはないが平和裏に行いたいという辺りが平均値か。

台湾併合を行うため武力侵攻も辞さずとするのは、従来の党方針である。習近平もそれを踏襲して表明したが、単にそうしただけでなく何としても毛沢東と並び歴史にその名を刻むために、搦手での併合が進まなければ武力侵攻をする肚を固めていると思われる。党大会での人事は、李克強等の経済通を葬り去るとともに、中央軍事委員会の体制を台湾情勢に精通した幹部の重用で固める等、台湾侵攻シフトと言える。

更には、①党大会後もゼロコロナ政策を続けており中国経済が立ち行かなくなる事、②そうした締め付け政策を見て平和裏の併合なら容認する台湾人が減る事、③米国が対中輸出規制を強化しており半導体を中心とした台湾のハイテク技術の奪取を急ぎたい事、これらを考えればより台湾侵攻に向かう必然性が高まっていると見るべきである。

世界が紛争、エネルギー危機、食糧危機、経済財政危機等々、風雲急を告げる中、世界秩序を新たにデザインする必要がある。それは、中露疑似同盟間に楔を打ち込み、ロシアも加えて大きく中国包囲網を形成しその牙を抜く事が、中心に据えられなければならない。

さもなくば、電脳社会主義の独裁監視国家の覇権によって地球が覆われることになろう。現状に於いても、市場大国中国は、資源食糧大国ロシアをジュニアパートナー化し、アラブを含むグローバルサウスを巻き込み西側との対決の布陣を固めつつある。

正義とは即ち、より良き秩序である。それは、現実的な世界秩序の維持構築を欠いては成り立たたない。ウクライナ戦争と台湾情勢の短絡的な同一視を避けねば、世界は道を誤るだろう。