メキシコのオブラドール大統領(左)とブラジルの次期大統領ルラ氏 BRASÍL, LULA AMENAZA LIDERAZGO DE AMLO.21-11-2022.

ルラがブラジルの大統領に復帰するとロペス・オブラドール大統領のラテンアメリカでのリーダーシップの座が奪われるだろう。

ルラ氏が再びラテンアメリカのリーダーの座に就任する可能性大

先月10月にブラジルでルラ・ダ・シルバ元大統領(ルラ)が勝利した。それは、これまでラテンアメリカのリーダーとして君臨したいと目論んでいるメキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領(アムロ)の野望が崩れることを意味するようになる。

ルラの復帰を強く望んでいたアルゼンチンのフェルナンデス大統領

例えば、アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領はルラの大統領としての再登場に強い期待を寄せていた。ブラジルとアルゼンチンは兄弟のような関係で、貿易取引も両国の間でそれぞれトップを占めている。ところが、極右のボルソナロ氏が大統領になってからは両国の関係はうまく行っていない。フェルナンデス大統領にとってブラジルとの強い絆を復活させるにはルラの登場が必要なのである。

フェルナンデス大統領はメキシコとラテンアメリカの枢軸を構想したが・・・

フェルナンデス大統領はボルソナロ政権下のブラジルではラテンアメリカでリーダー国としての枢軸を築くのは難しいと判断して、メキシコのアムロに接近した。ラテンアメリカ南端のアルゼンチンと北端のメキシコとで枢軸を構築するという構想をアムロに提案した。アムロはそれを受け入れた。特に、コロナのワクチンでは両国が協力してラテンアメリカでのワクチンの普及に両国が協力した。ベネズエラのチャベス前大統領が実行した安価な原油を同盟国に提供する原油外交に代わってワクチン外交の展開であった。

しかし、アムロは所詮外交感覚には疎く、大統領に就任してから4年間に外遊は米国と中国だけである。