ペルー北部海岸エリアに位置する美しい街「Trujillo(トルヒーヨ)」。その市街地から西へ約7キロ進んだ海岸沿いに、チムー王国の首都遺構「Complejo Arqueológico Chan Chan(チャンチャン遺跡)」があります。9世紀半ばに興り、強大な軍事力と高い治水技術で海岸エリアを広く支配したチムー王国は、あのインカ帝国と勢力を二分するほどの高度な文化を誇りました。今回はユネスコの世界遺産にも登録されている古代アンデス文明最大の都市、チャンチャン遺跡をご紹介しましょう。
目次
チャンチャン遺跡へのアクセス
面積およそ20平方キロメートル、最盛期には人口2万5000人を擁したという巨大都市チャンチャン
チャンチャン遺跡へのアクセス

チャンチャン遺跡へ行くには、トルヒーヨ市内発の日帰りツアーに参加するかローカルバスを利用するかの二者択一。ローカルバスはトルヒーヨと空港方面を結ぶ「Av. Mansiche(マンシチェ通り)」をまっすぐ進むので、運転手に「チャンチャン遺跡」と伝えておけば、遺跡へ向かう1本道のそばで停車してくれるはずです。

マンシチェ通りから遺跡までは、日差しを遮るものがひとつもない砂漠の道を20分ほど歩きます。たとえ曇り空でも紫外線はいっぱい!帽子やサングラス、飲料水などをしっかり準備していきましょう。

ここが、世界遺産チャンチャン遺跡の入り口です。
面積およそ20平方キロメートル、最盛期には人口2万5000人を擁したという巨大都市チャンチャン

砂漠に建造されたチャンチャン遺跡は、アドベ(日干しレンガ)製の高い壁に囲まれた10か所の「シウダデーラ(城塞)」と、孤立したいくつかのピラミッドで構成されています。(シウダデーラは長年にわたり9か所と考えられていましたが、近年の調査で10か所あることが確認されました。)シウダデーラの中で一般に公開されているのはかつてのチュディ宮殿、現在は「NIK AN(ニカン)」と呼ばれる場所だけ。NIK ANとは、ムチック語という地元の古い言葉で「中央の家」という意味だそうです。

遺跡内の見学順路は、標識に描かれたこの魚の向きに従って進みます。

まずは「Patio Principal(中央広場)」または「Plaza Ceremonial(儀式の広場)」と呼ばれる大広場へ。ニカンの北側に位置するこの広場では、祖先崇拝の儀式が行われたと考えらえています。

壁には横線で表現された波と、ラッコかリスと思われる動物、ペリカンなどのレリーフが整然と描かれています。

こちらは「Corredor de Peces y Aves(魚と鳥の回廊)」。幾重にも寄せては返す波と、その波に乗って泳ぐ大量の魚たち。その下には、魚を狙う海鳥たちのレリーフが続きます。母なる海への感謝と大漁を願うチムーの人々の想いが伝わってきますね。

チャンチャン遺跡で最も有名な「Sala de Las Audiencias o Templetes(謁見もしくは小礼拝堂の間)」。ここは神々への捧げものや貢物の受取り場所であったと考えられています。それぞれの小部屋にはU字型に造られたニッチ(くぼみ)があり、そこにチムーの神を表す木製の偶像が収められていたそう。ペリカンや波模様などのレリーフが見事です。