焦るトランプ大統領候補
今月15日、ドナルド・トランプ前大統領は2024年大統領選への出馬を宣言した。選挙に負けた大統領が大統領選への挑戦を目指すのは異例であり、次の大統領選まで2年を残しての出馬表明も異例中の異例である。
出馬宣言は数か月前にFBIによって強制捜査にあったマール・アラーゴで執り行わたが、そこには普段とは様変わりしたトランプ氏の姿があった。
トランプ氏の演説は原稿を無視しして、面白おかしく、彼自身が話したいことを話し、時には人格攻撃もいとわない特徴があった。
しかし、自身の邸宅で行われ出馬表明演説は原稿に忠実であり、大統領らしさを出すあまり、自身の政権の実績や政策目標をひたすら並べる「一般教書演説」のような演説となっており、正直つまらなかった。実際、退屈さを感じたのは筆者だけではなく、トランプ政権に終始批判的だったCNN、トランプ氏の御用番組ともなっていたFOXニュースはトランプ氏の演説途中で中継を終えている。
これまで支持者を集めた集会などで見られた自由奔放さをトランプ氏が封印したのは中間選挙で共和党を敗北に追いやった彼なりの敗戦責任の現れだ。共和党は中間選挙で思うように票が伸びなかった。その結果を共和党内では2020年大統領選の結果を否定する候補をトランプ氏が大量に擁立したことを原因とする批判が噴出している。トランプ氏が出馬表明で2年近く言い続けた選挙結果を否定する言明をしなかったことは彼自身が誰よりも批判を真に受けている証拠だ。
No stop the steal and no abortion mention from Trump
Tells you exactly how popular even he knows they are
— Saagar Enjeti (@esaagar) November 16, 2022
訳:(出馬声明で)ストップ・ザ・スティ―ル(2020年大統領選が不正選挙だったと主張する運動)と人口妊娠中絶についてトランプからは一切言及が無かった。彼でさえもそれらがいかに不人気なのかを理解している。
また、トランプ氏からフロリダ州知事選で大勝したロン・デサンティスに鞍替えする動きも党内では出てきている。トランプ氏と敵対している圧力団体が発表した疑似的な共和党予備選の世論調査の結果によると、競っているはいるものの、デサンティス氏の支持がトランプ氏を勝っている傾向が見られる。それゆえ、デサンティスなどの対抗馬の機先を制して、自らへの脅威の芽を摘むことも出馬の理由として考えられる。

トランプ大統領 WinRed HPより