「パタゴニア(Pataginia)」の創業者イヴォン・シュイナード(Yvon Chouinard)は9月14日、地球環境改善のため同社の全株式を譲渡すると発表した。

1984年の創業以来、約50年に渡りアメリカのアウトドア業界を牽引してきたシュイナードは、これまでも環境負荷の少ない素材の多用や、毎年の売り上げから1%を寄付するなど、環境危機への取り組みに尽くしてきた。しかし「ブランドの価値観を維持しつつ、この危機と闘うためにより多くの資金を投入する方法を見つける必要がある」と、今回の判断へと踏み切った。同社の株式は今後、新たに設立されたトラストのパタゴニア・パーパス・トラスト(the Patagonia Purpose Trust)に議決権付き株式を100%と無議決権株式を2%、環境危機と闘う非営利団体のホールドファスト・コレクティブ(the Holdfast Collective)に無議決権株式を98%譲渡する。毎年事業に投資した後の剰余利益を配当金としてホールドファスト・コレクティブへ分配することで、環境保護の活動資金に当てる「パタゴニア」は、現在の企業評価額、約30億ドル(約4300億円)と言われており、その配当金は年1億ドル(約140億円)ほどとみられる。

シュイナードは今回の件に関して、「私はビジネスマンになりたいと思ったことはありません。クライミング用具を友人や自分用に作る職人から始めて、今に至ります。事業の繁栄を大きく抑えてでも地球の繁栄を望むのならば、私たち全員が今手にしているリソースでできることを行う必要があります。これが私たちにできることです」とコメントしている。

文・岡本湧/提供元・SEVENTIE TWO

【関連記事】
「オニツカタイガー」からファッションと快適性の両面にこだわった新作シューズが登場
「ニューバランス」から90年代のアウトドア小物に着想を得た限定カラーの「992」が登場
「ザ・ノース・フェイス」が独自に開発した防水透湿素材を使用したコーチジャケットを発売
「ミズノ」が高反発ソール素材を搭載したランニングシューズ「WAVE AERO 19」を発売
「ナイキ」から環境に配慮したバスッケトボールシューズが誕生