岸田総理大臣は昨日22日、訪問先のニューヨークで、10月11日から新型コロナウイルス関連の水際対策をさらに緩和する意向を示しました。

具体的には、一日当たり入国者数の上限撤廃、短期滞在者のビザ取得免除、そして個人旅行の解禁などを実施する方向で調整が進められています。

本格的な「開国」と、円安状況の組み合わせにより、インバウンド消費の回復が加速度的に進んでいくことが期待されます。

目次

  1. 岸田総理大臣、10月以降の水際対策のさらなる緩和を表明
    1. 「開国×円安」でインバウンド消費回復に期待

岸田総理大臣、10月以降の水際対策のさらなる緩和を表明

岸田総理大臣は昨日22日、訪問先のニューヨークで、日本の食文化などを発信するレセプションに出席しました。

その中で総理は、「世界中の方々から『いつから日本に旅行できるのか』という声をいただいている。10月以降、水際対策をさらに緩和する。訪日して日本食を味わっていただく計画を立ててもらいたい」と発言し、10月以降に水際対策の緩和をさらに進める意向を示しました。

具体的な緩和の内容については、主に3点が挙げられています。

1つ目は、一日当たり入国者数の上限撤廃です。現在は1日当たり5万人までという入国者数の制限がありますが、これを撤廃する方向です。

2つ目は、短期滞在者のビザ取得免除です。新型コロナウイルスが世界的に蔓延した2020年以来、観光客等のビザ免除措置は停止されており、全ての入国者はビザを取得する必要がありました。これが訪日観光の大きなハードルとなっていましたが、10月からは短期滞在であればビザの取得は必要なくなります。

そして3つ目は、個人旅行の解禁です。2022年9月現在では、外国人の旅行形態として入国が認められているのは、パッケージツアーのみでした。

コロナ前の2019年に訪日客の旅行形態の4分の3以上を占めていた個人旅行の再開は、インバウンドの回復にとって強力な追い風になります。また団体旅行に比べ、個人旅行の方が一人当たり消費額は大きくなる傾向にあるため、インバウンド消費額の面でも好影響が期待できます。

これらの措置は、10月11日以降に適用される見通しです。

「開国×円安」でインバウンド消費回復に期待

水際対策の緩和以外にも、インバウンド消費の回復にとって追い風となりうる現在の状況として「円安」があります。9月22日には一時1ドル=145円を突破するなど、「今世紀最大の円安」といえる状況になっています。

円安という要因だけで「訪日客数」が大幅に伸びるということは考えにくいですが、円安はインバウンドの「一人当たり消費額」を伸ばす要因になりうるとされています。

例えば、全く同じ商品でも、自国で買うより日本で買う方が2~3割ほど安く買えるという状況が円安の影響で生じているようです。特に単価の高い商品を購入する場合は、自国で買う場合と日本で買う場合の差額が大きくなるため、ブランド品などを日本で買いこむ訪日客もいるということです。

ただし、円安による消費の伸びを大きく見積もり過ぎるのは危険であるともいえます。

その理由の一つが、中国のいわゆる「ゼロコロナ政策」の継続です。中国では海外旅行に対して制限がかけられているため、中国人観光客の早期回復には期待ができない状況です。

コロナ前の2019年には、訪日中国人観光客は年間2兆円以上の消費額を誇り、全国籍総計のインバウンド消費額約4.8兆円のうち40%以上を占めるいわば「超大口顧客」でした。この中国人観光客がまだ戻らないことによる影響というのは、必然的に大きくなります。

またもう一つの理由は、現状の大幅な円安は特に米ドルに対するものであるという点です。

確かにユーロやアジア諸国の通貨といった、米ドル以外の主要な通貨に対しても円安は進んでいますが、対米ドルほどの下げ幅はありません。また従来、訪日アメリカ人観光客数が訪日外国人数全体に占める割合は数%程度にとどまっていることを考慮しても、「対米ドルでの大幅な円安」がインバウンド消費にもたらすインパクトは過大評価しすぎないほうがよいといえます。

いずれにせよ、10月の水際対策緩和によって日本が本格的に「開国」し、訪日観光客数が急速に増加することは確実であると言えます。久々に日本に戻ってくるインバウンドのニーズに応えられるよう、現状分析にもとづいた受け入れ準備をしていきましょう。

文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ

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