田中 要次 -男の肖像時計の選択(パワーウオッチVol.52-2)
(画像=ディーゼルのDZ7080。シルバー2本のほか、メタリックブラックとゴールドの合計4本を所有しているという,『Watch LIFE NEWS』より 引用)

田中さんが常用する腕時計は、ふだんからデニムなどを愛用しているディーゼルのショップで見つけたもの。一見、腕時計とは気付かない、近未来的なデザインが印象的だ。

「携帯電話を持つようになって、ずっと腕時計をしなかったんですけど、アクセサリー的な意味でするのもいいかなって思ってました。ある日ディーゼルに寄ったら、この腕時計を見つけて一目惚れしました。あまり見かけない太いブレスレットがいいし、武器みたいなルックスもいい(笑)。デジタル表示もSF映画みたいでかっこいい」

その後、マルタ島にロケに行ったときに、現地のディーゼルで日本未発売の色違いモデルを発見し即購入。さらに最初に持っていたものが少し傷付いてしまったため、同じものを再度購入……。とやっているうちに、現在では同じものを4本も所有しているのだそうだ。

「時計としては非常に見づらいし、全然機能的ではないんですけど、むしろ腕時計っぽくないところが気に入っているのかもしれない。やっぱり人と同じようなものを身につけるのは嫌だし、ちょっとひねりのあるデザインが好きなんです。見るからに高級な腕時計には、どうしても抵抗感がありますね」

田中さんは国鉄職員やバイク便ライダーといった時間に厳しい仕事を経験してきていることから、さぞや時間に正確な方かと思いきや、実はそうでもないらしい。

「数分程度なんですけど、いまでも遅刻魔です(笑)。国鉄は非常に時間に厳しい職場で、よく怒られていました。ある日も遅刻して現場で働いていたら、上司に呼び出されて半日お説教。その後に反省文も書かされました。5分ほどの遅刻で半日潰されるって本末転倒だなって思いましたけどね(笑)」

バイク便時代にも、時間に関しては忘れられない思い出がある。

「淀橋の市場から伊東のホテルまで、昼の12時までにミニ大根を運んでくれって仕事があったんですよ。ところが高速の出口を知らなくて、御殿場あたりでようやく行き過ぎだって気付いた。そこから下道に降りて大あわてで伊東に向かったんですが、峠越えの道で霧もすごかったんです。それでも急いで向かったんですが、30分ほど遅れちゃったんです。ホテルではもう料理は終わっちゃったからいらないって怒られて、仕方なく発注元に戻りました。そうしたら八百屋さんが“うちが送り忘れた品物をダメモトで頼んでみたんだよ。お兄ちゃんのせいじゃないよ”って言ってくれて、逆にねぎらわれた。ぼくが道に迷わなければ間に合ったのに、なんとも申し訳なかった。時間には厳しい人もいれば寛容な人もいるけど、時間に関する考え方で人の性格も如実に表れる気がします」

こうした下積み時代に経験したことが、田中さんの役作りに大きく役立っているのだろう。

POWER Watch No.52(2010年5月)掲載 取材・文◎巽 英俊/写真◎笠井 修

提供元・Watch LIFE NEWS

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