航空宇宙産業を手掛ける「エアバス・ディフェンス・アンド・スペース」は現在、無人航空機Zephyrを開発中です。

このZephyrは、太陽光発電によって燃料供給なしで長期間飛び続けることが可能です。

そして最近、最新機のZephyr8が64日間の連続飛行を達成し、無人航空機における連続飛行時間の世界記録を更新しました。

とはいえ、この連続飛行記録は、関係者も予期しない急な出来事によってストップしたようです。

太陽光発電で飛行し続ける無人航空機「Zephyr8」

無人航空機として開発されてきたZephyr6は、2008年に3日間の連続飛行を達成。

改良されたZephyr7は、2010年に14日間も空中に留まり続けました。

そして最新機のZephyr8(ZephyrSとも呼ばれる)は、2018年に記録を大きく伸ばし、25日間の連続飛行を達成しています。

Zephyrは太陽光発電によって燃料供給なしで連続飛行できる
Credit:Airbus Defence and Space

このZephyr8は、成層圏(高度10km以上)を飛行する無人航空機です。

翼幅25mですが、その重量は75kg未満と人間1人分の重さしかありません。

翼の上部がソーラーパネルになっており、太陽光発電で得られたエネルギーを頼りに飛行します。

太陽のない夜間も、日中に蓄えられた電力で飛び続けることが可能なため、燃料は必要ありません。

見た目からも分かる通り、空を飛び続けるために極限まで無駄をそぎ落としたデザインになっていますね。

地上や海上の監視。データ通信にも利用可能。
Credit:Airbus Defence and Space

ちなみにZephyr8にはさまざまなレーダーやカメラが搭載されており、長期にわたる国境や海上の監視に役立ちます。

またネットがつながらない地域に電波を届けるためにも利用でき、Zephyr 1機で携帯電話基地局250台分の働きが可能とのこと。

さらに軍事利用もZephyr8の主要な役割です。

そして最近、米軍協力で行われた試験飛行において、Zephyr8が世界記録を樹立しました。

約2カ月の連続飛行達成!無人航空機における世界記録樹立

現在Zephyr8は、長期の偵察任務に向けた調整・開発が行われています。

そして2022年6月15日、米軍のユマ試験場を離陸。

8月21日まで高度18kmで長期連続飛行を続けてきました

ユマ試験場の上空を2カ月間飛行した
Credit:Airbus Defence and Space

これにより64日間の連続飛行が達成され、無人航空機における世界記録を更新しています。

「数カ月間にわたる燃料補給なしの連続飛行」を実証したのです。

ところが今回の飛行テスト終了は、関係者にとっても「急で不本意な出来事」だったようです。

8月18日21時ごろ、Zephyr8はユマ試験場の上空で「予期せぬ事態」に遭遇。急遽飛行テストが終了することとなりました。

米軍はこの予期せぬ事態について詳細を明らかにしていませんが、負傷者が出たり、他の機体が被害を受けたりすることはなかったようです。

テストチームのディレクターであるマイケル・モンテレオーネ氏は、「我々のチームは、予期せぬ飛行テスト終了を受けて、重要なデータ収集と事態の分析に力を尽くしているところです」とコメントしています。

とはいえ、2カ月以上の連続飛行から得られたデータは貴重であり、今後の機体改良や将来の任務に必要な情報は多く得られたようです。

将来どのような目的でZephyr8が利用されるかは明らかにされていませんが、文字通り、重要な任務を「上空で果たし続ける」のでしょう。

参考文献
Unexpected end to Zephyr 8’s record-smashing 64-day endurance flight
APNT/Space CFT concludes high altitude experimentation