リスクアセスメントとは、職場における危険性や有害性を調査し、結果に基づいて危害を除去・低減する一連の流れを指します。労働災害の原因を探り、対策を講じていく手法です。

昨今、労働災害の原因が多様化したことで、職場の安全確保が困難となっています。従業員が安心して働ける環境を整えたいと考える飲食店舗や小売業にとって、リスクアセスメントを実施し、危害の防止策を進めることは急務です。

この記事では、リスクアセスメントの目的や効果、事前準備から実施の流れを解説します。

目次
リスクアセスメントとは
リスクアセスメント実施に伴う効果

リスクアセスメントとは

リスクアセスメントとは、職場に潜む危険性や有害性を調べ、調査結果から危害を除去したり、提言したりする手法です。労働災害の原因を探ることで、発生を未然に防ぐ目的があります。
リスクアセスメントの実施は、2006年以降努力義務に設定されています。

必要とする背景

リスクアセスメントを必要とする背景には、職場における危険性や有害性の多様化があります。技術が発展し、生産現場で取り扱う機器設備や化学物質が増えたため、職場の安全確保が困難となっているのです。
従来の防止対策は、実際起こった労働災害の調査を起点としていました。労働災害が起こってから、再発防止策を検討し、各職場に徹底させる流れです。そのため対応が後手に回り、災害が発生していない職場に潜む危険性や有害性への対応は難しい状況でした。

今後、労働災害の要因が多様化すれば、職場の安全確保はますます遠ざかるでしょう。

このような潜在的な危険から従業員を守り健全な職場を運営するには、事前に防止策を講じることが可能なリスクアセスメントが必要なのです。

リスクアセスメントの考え方

リスクアセスメントの考え方では、労働災害の発生する仕組みを、危険性または有害性が人と関わることで発生する、としています。
包丁があっても、人が使わなければ怪我を負う事態は起こりません。人との関わりでリスクが発生し、安全衛生措置に不備があれば、労働災害に至ります。

リスクの発生を事前に評価して、予防を図る取り組みがリスクアセスメントです。

リスクアセスメント実施に伴う効果

リスクアセスメントの実施には、下記の3つの効果が期待できます。

  • 職場におけるリスクの明確化と共有
  • リスクに対する優先順位の決定
  • ルールの定着化

職場におけるリスクの明確化と共有

職場におけるリスクが明確になり、全体でリスクに対する情報を共有できます。リスクの存在を認識することで、あらかじめ危険性や有害性といった危険の芽を摘み、リスク発生の可能性を低減できます。
職場の人間全員で取り組むため、業務経験の浅い従業員も含めて、安全衛生に対する認識と危険に対する感受性を高められます。

リスクに対する優先順位の決定

リスクアセスメントを行うことで、リスクに対する優先順位が明確になります。
リスクアセスメントはリスクを見積もり、結果をもとに優先順位をつけます。許容できるか否かで判断するため、対応すべき危険度の高いリスクから順に、合理的な低減対策が講じられます。

ルールの定着化

リスクに対する情報の共有が職場全体に広がることで、「なぜ注意すべきか」というルールへの理解が深まります。リスクの中には、すぐに低減対策を取れないものもあるため、業務(作業)担当者に一時的に注意の徹底を促すほかありません。
ルールの裏には、必ず実行すべき理由があり、ルールの定着には自ら行う姿勢が大切です。リスクアセスメントの取り組みに参加していれば、職場の安全を守るために必要だと理解し、ルールの徹底につながります。