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タイ、観光料の導入を計画 全ての外国人から一律徴収
ベネチア、入島税を導入 人流抑制、観光地保全のため

日本のインバウンドは現在、コロナ禍からの復活をかけた厳しい船出の最中にあります。

ですがコロナ前、インバウンドが右肩上がりに成長していた時期にも、日本各地の観光地はまた違った課題を抱えていました。

観光地に許容量を超える客が殺到する、「オーバーツーリズム」の問題です。

オーバーツーリズム対策のひとつに、「観光料」を徴収することで人流を減らす方法があります。

日本もコロナ禍からの復興に備え、観光料を設けた方がよいのでしょうか。

本記事では観光料を導入している、または導入が予定されている3つの国と地域の事例から、観光料の効果や目的、そして日本が目指すべき観光について考察していきます。

タイ、観光料の導入を計画 全ての外国人から一律徴収

タイ政府は現在、「外国人観光客料金徴収制度」の導入を計画しています。

労働許可書の有無などに関わらず、すべての外国人から300バーツを徴収する見込みで、観光料を納めることで最大30日、最大補償50万バーツの傷害保険が適用されます。

空路の場合は航空券代金に含まれる予定ですが、陸路と海路での入国の徴収方法については検討中となっています。

また当初は外交官などからは徴収しない予定であったものの、観光料が航空券代金に含まれる場合は例外を設けることが難しいため、すべての外国人から徴収することになる見込みです。

なお開始時期については、当初は2022年の8月から9月を予定していましたが、2023年からとなる可能性も出てきています。

タイで度々問題になる「外国人価格」

タイの観光地などでは、地元民向けと外国人向けで価格が異なる「二重価格」がしばしば見受けられ、度々問題となっています。

2019年にはタイ南部プラチュワップキーリーカン県在住のオランダ人男性が、外国人に対し高額な治療費を設定しているとして公立ホアヒン病院を訴えました。

また2015年にタイ南部クラビ県のエメラルドグリーンの淡水天然プールで、タイ人の入場料金が20バーツであるにもかかわらず、容姿が外国人であるタイで生まれ育った男性には200バーツが請求されたと、この男性がSNSに投稿しました。

タイの観光地の多くでは、タイ人の料金の数倍もの外国人料金が設定されています。

タイ首相府の副報道官は7月6日、観光・スポーツ省がホテル経営者に対し、外国人にはコロナ禍前と同じ料金を請求し、地元客には割引料金を請求する二重価格構造を要請する予定だと明らかにしました。

これに対し同国のホテル業界からは「非現実的だ」として反対意見があがっています。

同国では以前から「外国人価格」を設定する風土があり、観光料はその延長線上にあると考えることもできそうです。

ベネチア、入島税を導入 人流抑制、観光地保全のため

ベネチア市は、ベネチア本島を訪れる旅行者に対して2023年1月から入島税を導入する予定で、同市内に宿泊しないすべての人に課せられます。

環境や地元住民の生活を守ることが目的であり、タイに比べ「観光地保全のため」という目的・用途は明確化されています。

ベネチアではコロナ禍から観光客が回復してきており、4月の復活祭休暇中には連日10万人以上の観光客が訪れました。

ベネチアは狭い小道が多く、観光客が増えたことで水上バスが混雑するなど地元民の生活にも影響が出ています。

入島税の導入に向けて、2022年夏から試験的に入島予約システムが導入され、ベネチアを訪問するすべての人が入島予約をすることになります。

同市が運営するインターネットサイトで予約を行い、鉄道駅や空港などから観光地へ向かう際に、予約を確認するもので、予約者は観光施設で割引料金が適用されます。

べネチア市長によれば、このようなシステムは世界初で、観光客は1日4〜5万人に制限し、料金は混雑度に応じて変動するとしています。